第557話
「ありがとうございます。私なんかがタルタル神様に勝てるはずがないと思っておりましたが、タルタル神様はタルタルを使ってなさいませんでした。私の勝利は偉大なタルタルを使用させてもらっただけの事です。タルタル神様はおそらく私を勝たせていただけたのだと思います。私が優勝して何を頼むのかも知ってあったのでしょう。」
いや、別にわざとタルタル使わなかったわけじゃないですよ!
俺までタルタルソースに合う料理を作ったら、エビ料理対決なのかタルタル料理対決なのか分からなくなるからね!
それにペイセルさんが優勝したら何頼むかなんて知りません。
それに内容次第では転移で逃げる準備までしています!
「さすが敬虔なタルタル教司祭さんです。さあそれでは優勝したペイセルさんは賞品に何を望まれますか?」
「はい。私が賞品として希望するのは‥」
さあ何がくる?
タルタル神様としてタルタル教の神殿に住んでくれとかだったら全力で逃げなければ‥
タルタル教の手が及んでいない辺境にでも逃げるか?
「私はタルタル教会に奉納するタルタル神様のお造りになられた神像をいただきたいと思います。」
ん?
神像‥?
「タルタル神様がお人そっくりの神像をお造りになられるとお聞きしました。それを造っていただき、時折でいいのでそれで信者の前に出ていただければこの上ないです‥」
なるほど。
神像ってホットモールで飾ってあった、俺に似て似つかない肖像画を元にしていいのかな?
少し腹立たしいが、俺よりも男前に作られていた肖像画だが、あれなら俺とは思われないし‥
ペイセルさんが俺の方を見ている。
俺を見ながら祈りを捧げている。
う〜む、それくらいならいいのかも。
「わかった。何体か作成するからそれを渡すとするよ。」
「ああ!なんという‥‥‥ありがとうございます!」
ペイセルさんは泣き崩れて座り込んだ。
そ、そんなにありがたい事なんでしょうか‥?
多分ほとんど作った『影法師』に入る事はないと思うけど、そんなに喜んでもらえるのであれば、数体作っても問題ないだろ。
それに優勝賞品だし。
ただ、俺とは全く似てない物を作らさせてもらいますけどね‥
「それでは皆さん余興を楽しんでいただけましたでしょうか?また今回参加された人も今回は様子見だった人も腕を磨いて次回の開催を待たれてください!今回審査員として参加されたポッサムさんが次回の開催を国がホット商会の協力の元で盛大に開催されるそうです!もちろん今回優勝されたペイセルさんも参加されますので奮ってご参加されますようお願いいたします!」
おいおい‥
ただの余興じゃなかったのか‥
「今回審査員として参加させていただいたポッサムです。これだけ盛り上がった物をここで終わらせるのはもったいないと思い、次回の開催を予定させてもらいました。出来ればこの大会を獣人国の闘技会に負けないような大会にしていけたらと思っています!商人の国、ロンギル共和国に相応しい大会だと思っていますので、皆さんどうぞよろしくお願いします!」
う〜ん‥
さすが商人の国の領主さん。
儲けそうだと思った時の行動力が半端ない。
多分キリーエがいたからスムーズに話が進んだんだとは思うけどね。
「それではこれにて第一回タルタル料理大会を終了させてもらいます!皆さん引き続き宴会をお楽しみください!」
おいっ!
ちょっと待て!
いつの間にエビ料理対決から、タルタル料理大会に変更になったんだよ!
そんな大会名にしてしまうと、毎回タルタル料理を作る事になるんじゃないか?
ま、まあいい。
俺が出るのは今回限りだろうし、後にどんな大会になっても俺には関係ないからな。
関係ない‥よね?
そんなこんなで、アレカンドロの自宅の庭で行われた料理大会は、国主催の大きな大会になる事を約束されて終了したのだった。
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