第699話

何故魔族がアキーエにそんな事を言ってるのかよくわからない。


この魔族が何者でどんな理由でアキーエと戦っていたのかもわからない。


でもそんな事はどうでもいい。


アキーエを嫁にもらうだ?


俺の前でそんな事をよく言ったなお前。


「ふん。自分のオンナをとられそうで怒っているのか?笑わせる。女は強い男に惹かれるものだ。ならば女が俺に惹かれるのは仕方あるまい。お前に魅力がないと言っているわけではない。だから怒る必要もあるまい。」


コイツは‥


「お前魔族だろ?それじゃあとりあえずぶっ飛ばす。」


「はは!俺が魔族だから殴っていいと正当化したか。自分に魅力がないと言っているようなものだぞ。」


ぐぬぬぬぬ‥


俺はエンチャント:勇敢なる者を発動する。


足りない魔力は魔力供給の腕輪から無理やり吸い上げる。


「うおりゃー!」


俺は剣を片手に魔族に突っ込む。


「むっ!何だそのスピードは!?」


たとえ謝ったとしても許さん!


後悔させてやる!


俺は一瞬で魔族の間合いに入り、剣を振り下ろす。


すると魔族は背中から生えている腕を使い攻撃を防ぐ。


生身の腕で剣の攻撃を防ぐ事などできず、剣を防ごうとした魔族の両腕を切り裂く。


俺は腕を斬り落として更に攻撃を加えようとするが、今度は魔族の脇あたりから突然生えた攻撃に阻まれる。


なんだこいつは?

腕を生やすスキル?


「ちっ、殴りあいならよかったが、剣を使われるとこの身体ではついていけんな‥しかし驚いた、これほどの強さを持つものがまだいるとはな。女との戦いを楽しみたいところだが、お前の力も見せてもらうか。」


先程生えていた腕の部分から魔族の胴体が生えてきた。


なんだ?


その後、頭と足が魔族の身体から生え、魔族の身体が2人となった。


「ふむ。デュワインのスキルは魔力消費が大きいな。だがこの程度なら俺が憑依した時に持ってきた魔力を使えば数百は出せるか‥」


「マルコイ!そいつは自分と同じ姿の奴を出せるスキルを持ってるの!」


なるほど。

アキーエは先にコイツと戦ってたからスキルを知ってたわけか‥


「わかったとてどうすることも出来まい?出した人形はデュワインと同じ程度の強さしかないが、数は出せるからな。絶望するがいい。」


魔族の後ろに100近い数の人形が現れた。


人形といっても魔族と同じ姿をしている。


なるほど‥

未知のスキルだな‥


本来はあまり無茶に突っ込まずに様子見しながら戦うべきなのだろう‥


だけど‥


今回ばっかりはそんな事をするつもりはない。


相手が数で来るなら‥


こっちも数でいったらんかい!



「これだけの数を相手できるか?弱いとはいえ上位魔族だ。1人でどこまで出来るかな?」


魔族の男が何か言っているが知った事ではない。


俺は『スペース』を開く。


「数で攻めるってのはこうするんだよ!」


『スペース』の中から木偶人形を取り出す。

その千体程だ。


魔族に対して木偶人形程度じゃ相手にならないだろう。

だが魔族1人に対して木偶人形10体なら話は違うぞ。


「な、なんだこれはっ!」


「いけ!サウザンド木偶人形!」


木偶人形たちは近くにいる魔族に襲いかかる。


「く、くそっ!こんな物蹴散らしてやる!」


魔族の男が木偶人形を攻撃する。


魔族の攻撃で木偶人形が壊される。

しかし木偶人形は壊れた体で魔族にしがみつく。


木偶人形は痛みを感じないからな。


木偶人形は魔族を押し潰すように上から飛びかかる。


「くそっ!」


少しでも数を減らそうと木偶人形を攻撃する魔族。


木偶人形の核に攻撃が命中する‥


すると木偶人形の体から火が溢れ出て、爆音を上げて爆発した。


あ、そういえば爆破目的で作ってた木偶人形もいたな。


あれは当たりってとこかな。


他の場所からも爆発音が聞こえる。


おおう。


こ、これも計画通りなのだよ‥

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