第673話

色んな事があり過ぎて頭が混乱してるわ。


お、お肉って一体何のことかしら?


ここにいるのはモンスターだけのはず。


もしかして持ってきたお弁当のお肉が腐ったとか?


確かに少し暑いものね‥

絶対違うと思うけど、一応確認だけね‥


うん。

やっぱり違うわね。


焼けば大丈夫か?とか聞いてるから、間違いなくモンスターの事よね‥


わかってるわ。

あたし達がマルコイの家で食べてた料理にモンスターが入ってたのも知ってる。


大きな魚介類や、牛肉でも豚肉でもない食感で肉の臭みが殆どない極上のお肉も食べたわ。


あれがモンスターの肉だってのは薄々気づいてた。


でも美味しいって正義だから気にもとめなかった。


でも国を守る戦いでお肉って‥


あんまり非常識じゃな‥


「ノームさん!いくですよ!『召喚霊装:ノーム』!」


‥‥‥‥いや、何でもないです。





何よあれ?


もう巨大ロボじゃない‥


「ふおー!あれはゴーレムなんですか?それとも機械騎士なんですか?近くで見たい、触りたい!」


卓がうるさい。


でも卓が興奮するのもわかる気がする。


剣や魔法の世界でロボットなんて‥


そりゃミノタウロスも一撃でやられるっての。


非常識とは思うんだけど、食欲があっての強さなら見て見ぬふりするしかないわね‥


と、とりあえずあの魔族はミミウちゃんにお願いしておこう。


あの魔族も倒すためにはあたし達が必要になると思うけど、ミミウちゃんが怖いのか魔族の人が全力で逃げてるので捕まるまでに時間がかかりそうな気がする。


だから今は動かずにリルさんの応援に行けるようにしとかないと。


リルさんと魔族の戦いは、魔族の方が一方的に攻めている。

あのジャレドって魔族は剣をスキルで作ってるみたい。

たぶん魔力が続く限り無限に剣を作り出す事ができるんじゃないだろうか。

悔しいけど、やはり魔族は強い。

そんな反則級のスキルを使う奴がいるなんて‥


いくらリルさんが強いとはいえ、やはり手助けが必要だ。

魔族相手に騎士道精神なんか必要ない。


あたし達が助っ人に入れば、リルさんも入れて1対5

だ。

それにあたし達は魔族相手なら十二分に力を発揮できる。


リルさん、今助けに行きま‥


「剣を出さなかっただけ。お前とたたかうよりアレカンドロの方がたのしい。」


えっ‥?


「他につよいのがいるかも。アレカンドロにとられるとこまるからもう終わり」


ちょっと待って。

本気で言ってる?



「『刀纏水姫』」



リルさんがスキルを使用したのか、身体が急に軽くなった。


細胞のひとつひとつが活性化されてるみたい。


今なら高ランクモンスターも苦戦せずに倒せそうな気がする。


対して魔族は動きに精細さが欠けてる。


これなら!


「みんな!リルさんは魔族を倒すと思うわ。でもとどめは刺せないはず!あたし達でとどめを刺す必要があるわ。みんな戦闘準備して!」


リルさんが魔族の身体を斬り裂いた。


やっぱり!

でも凄い‥


魔族の懐に入る動きや、魔族を斬った動きが見えなかった。


まるで瞬間移動したように見えた。


でも相手は魔族だ。


マルコイに聞いたけど光属性の力を使って倒さなければ、魔族は傷が徐々に癒えていくらしい。


ここであたし達が行動しないと魔族を倒せない。


「みんな!準備はいい?魔族にとどめを刺すわよ!」


「あやめちゃん‥‥」


「どうしたの恵。」


「あやめちゃんあれ見て。」


恵がリルさんがいる方を指差した。


視線を向けてみる。


するとリルさんがキリーエさんから剣を受け取っていた。


あれ?

キリーエさんってどこにいたの?


いや、それはいいんだけど、なんでリルさんが持っている剣が光ってるのかしら?


「やめない。くらえ光属性あたっく」


リルさんが剣で刺した部分が溶け出している。


魔族が痛みに悶え苦しんでいる。



あるぇ〜?



な、なんでリルさんが光属性の攻撃ができてるの?


「ふおぉ!あれはマルコイ様が作った光属性の武器ですな!さすがマルコイ様!効果抜群です!」


お前知ってたんかい‥


何それ?

あ、あたし達の存在意義って‥


「ねえ正人‥これってあたし達ついてくる意味あったの?」


あやめは思わずそう呟いてしまった‥

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