第261話

侵入者を衛兵に渡したが、今回も素性はわからなかった。

この街の人間ではない事はわかったが、どこからいつ来たのかなどは不明だった。


ロンギル共和国のナイコビ商会と暗殺者ギルドだとは思うが、イザベラさんの報告を待っているので動くに動けない。

もどかしい‥


いかんいかん。

また思考が暗くなっている。


とりあえず最強自立型人形は補強を行う事にした。

強度を上げる魔力回路を組み込む。

おそらく剣で斬りつけられてもそうそうダメージは受けないだろう。

しかし膂力が高い相手だと意味がないとは思う。

そこまで魔力回路も万能ではないからな。

それだけの防御力を持つためには膨大な量の魔力が必要になる。

アキーエやミミウの攻撃を魔力回路の障壁で防御しようと思ったら多分俺の魔力でも一瞬で空になると思う。


もともと魔力に限りがある最強自立型人形だから、銃を撃って腕がもげない程度あればいい。


そろそろ名前でもきめないといちいち最強自立型人形と言うのが面倒くさい‥


腕がもげてしまったので、新しく腕を作ってもらい魔力回路を貼り付けた。


今日も元気に最強自立型人形は家の中をふらふらしている。




「マルコイ殿。少しいいでしょうか?」


昼過ぎにアレカンドロから声をかけられた。

最近はバラックスさんと模擬戦に精をだしていたが、何かあったのかな。

ま、まさかアレカンドロ改造作戦が漏れたとか?


「マルコイ殿のところにお世話になってだいぶ経ちましたが、先日自分が所属している傭兵団より少し大きな作戦があるため帰還するよう指示がありました。」


そういえば確か傭兵団に所属していたな。

すっかり忘れてた。


「自分としてはまだマルコイ殿の元で訓練をしたいと思っておりますが、自分の所属している傭兵団も自分の家のような物。申し訳なく思いますが、一度彼方に行って作戦に参加して戻って参ります。」


「アレカンドロの傭兵団はロンギル共和国にあるんだよな?もし俺たちが行く事になったら会うかもな。」


アレカンドロにはキリーエが狙われている事は話している。

バラックスさんにも伝えているが、2人とも他には話さないようにお願いしている。


バラックスに関しては「困ったらいつでも言ってくれ。」と男前な返事をもらった‥

これで脳筋じゃなかったらいい人なんだけどな‥


「はい。自分もキリーエ殿にはお世話になっていましたからもしロンギルに来られた時は声をかけて下さい。必ず御力になれると思います。」


「わかった。ありがとう。いつ戻る予定なんだ?」


「明日には出ようと思っています。作戦まであまり時間もないそうなので。」


「そういえばその作戦ってのはなんだ?もし秘密事項とかだったら聞かないけど。」


「いえ、ロンギルの近くの森にモンスターの大量発生の兆しがあるそうで。近くその森のモンスターを一斉排除する予定だそうです。」


「なるほど。ロンギルもか‥」


ロンギルにも魔族の侵攻が始まってるのかもしれないな‥




翌日アレカンドロはロンギルに戻って行った。

バラックスさんも見送りに来ており、少し淋しそうにしていた。


俺は餞別としてアキーエたちにも渡したペンダントを渡した。

何かあった時の手助けになればと思う。

あとアキーエたちにはない効果も付けさせてもらった。

アレカンドロの所在地がペンダントによってわかる効果だ。

俺たちがロンギルに行った時にすれ違いとか探すのに手間取ったりしないようにね。


アレカンドロは「異性から‥しかも自分が尊敬する方からプレゼントを貰ったのは初めてです!」と感激していた。


綺麗な顔しているんだけど、男勝りなのが原因だろう‥


アキーエがすぐにペンダントの効果を教えていた。

魔道具だけど消耗品だからね。

装飾品じゃないから戦う時に邪魔にならないように服の中に入れてても大丈夫とか伝えている。

すっかり仲良くなったな‥


今度は俺たちがロンギルに行ってまた会う事になるかもな。

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