第262話

ようやくイザベラさんから連絡があり、ロンギル共和国からの調査報告が来たらしい。


あれから模擬戦に挑んでくる人も少なくなり、バラックスさんも暇になって来たので模擬戦よりも冒険者としての依頼を優先するようになった。

それでも時々遊びに来てはお酒を飲んでシクーさんに引き摺られて帰ってるけど。


スキルの模倣もほとんど出来なくなってきたので、行動するなら今と思う。


ただどうするかはイザベラさんの報告次第だな。


イザベラさんは今日来るとの事だが時間がわからない。

外出するわけにもいかないので、今日はミミウに栗のお菓子を作る事にした。


俺がロマンって言っているのを聞いた後、最近ずっと何故かロマンロマン言っているからだ。


あんまりずっと言われると何故か恥ずかしくなって

しまう。


男のロマンは胸にそっと秘めるものである。


そこでミミウさんにはロマンロマンからマロンマロンに変わってもらうために栗のお菓子を作るのだ。


栗を甘く煮て出してもよかったのだが、せっかくだからケーキを作ってみようと思う。

こちらにはケーキってのはないのだが、異世界には様々なケーキってのがありとても美味しいそうだったから、いつか作ってやりたいと思っていた。


うちのパーティ名物のホットケーキで下地を作ってもいいのだが、せっかくなのでちゃんとしたスポンジ生地でケーキを作ってみようと思う。



スポンジ生地は卵、砂糖、小麦粉を使う。砂糖は多少値段が高いが商品化をしたりするなら別だが今回はおいしく食べたいのでじゃんじゃん使うとしよう。

卵に空気を含ませるためにしっかりと混ぜ合わせる。卵は多量の空気を含む性質を持っているからな。

そして卵に砂糖を加えて気泡安定させて、小麦粉を加える。

これでふんわりしたスポンジケーキになるはずだ。


あとは事前に作っていた釜にアキーエの火魔法をぶち込んでもらう。

あんまり熱すぎると焦げるからほどほどに。


あとは栗を使ってケーキの上に乗せるクリームを作る。

異世界で作られているモンブランケーキというものだな。

栗以外に芋なんか入れてもいいらしいけど、今回は栗だけだ。


栗を甘く煮た後にペースト状にする。

そして生クリームを用意する。

この生クリームを準備するのに時間がかかりなかなかお菓子を作ってやれなかったのだ。


生クリームは異世界でのお菓子作りに欠かせない素材である。

牛乳を殺菌した後、放置、冷却してクリームを上層に分離させる。

この作業にはどうしても時間がかかった。


生クリームを泡立てるために作った泡立て器で生クリームを冷やしながら泡立てる。

ツノができるくらいまで泡立ったら栗のペーストを入れて滑らかになるまで混ぜる。


そしてそのマロンクリームを柔らかい皮に入れて専用の金具をつける。

この金具がまた手間取った。

しかし銃を作る時に細いバネを作った事がいい経験となり細かい穴を持つ金具を作る事ができた。


これを先程焼いたスポンジケーキに円すいになるようにクリームを絞っていく。


スポンジケーキが少し傾いているけどそこはご愛嬌だな。


うん。

美味しそうにできたかな。


さてミミウはどこにい‥はっ!


気配を感じて振り返るとミミウとキリーエがテーブルに座ってスプーンを持っていた


さすがミミウとキリーエだな‥


直前まで全く気配を感じなかった‥




アキーエも呼び、お茶にする。


「はい、どうぞ。結構大きめに作ったからたくさん食べてもらっていいぞ。」


「「はーい!」」


4人とも一斉に食べだす。


「美味しいですぅ!甘くてとっても美味しいですぅ!」


「おう。これがマロンケーキだ。ロマンじゃないからな。間違えるなよ。」


「これがケーキ‥間違いなく爆発的に売れる‥砂糖のコストがえらくかかるけど、価格設定を上げても売れる。しかしデザートとして世間に浸透させなあかんから薄利多売して‥」


あ、キリーエがまた自分の世界に入っとるなぁ‥


「すごいわねマルコイちゃん!強くてイケメンなのに料理までできるなんて‥惚れなおしそうよ。」


そういえばなんでイザベラさんまでテーブル囲んでるんだよ?

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