第263話
確かケーキをテーブルに配る時にすでに座っていたな。
確かに来ているのは知っていたけど誰が中に入れたんだ‥
イザベラさんはうっとりした顔でケーキを食べている。
「この甘さ‥いけないわ!あんまり食べると太ってしまう‥でもこの甘美な誘惑‥マルコイちゃん‥罪な男‥」
いちいち言動がうるさい。
「イザベラさん調査員からの報告はどうだった?」
「ああ‥これが最後の一口‥さよなら、私の愛するケーキ‥」
おい‥
「あ、ごめんなさい。そうだったわ、今日は調査員の報告に来たんだったわ。あまりにも衝撃的な美味しさだったから忘れそうだったわ。」
何言ってんの。
キリーエがどれだけその報告を待っていると思ってるんだ!
「イザベラさん。これやったらどれくらいのペースで食べたいと思う?やっぱり回数多くすると太るから女性は控えると思う?」
おい‥
「そうねキリーエちゃん。太るけど、自分へのご褒美で週一は食べたいわ。え?これってホット商会で出す予定なの?私だったら食べた分運動するから毎日でも食べたいわっ!」
「やっぱりそうやね。薄利多売で売り出そうと思っとるから、そんな人は毎日でも食べれるくらいの値段にするわ。」
「最高ねキリーエちゃん。私は一生貴方の味方よ!」
なんか心強い仲間がお菓子で釣れとるな。
「わかったわかった。まだあるから後で食べていいから。でもミミウが食べてしまうから一切れ確保してからでいいから報告してくれ。」
「わかったわ、ありがとう。」
目を離している隙にかなり大きなケーキだったけど、半分くらいはすでにミミウが食べてるからな。よほど美味しいかったのかな?
よかった。
「調査員からの報告なんだけど、ほぼほぼナイコビ商会が黒幕と思っていいみたい。」
ケーキを一切れ確保したイザベラが話し出した。
「ナイコビ商会自体はただの商会みたいだけど、最近トップに立った男が急激に商会を大きくしてる。そしてその男と暗殺ギルドに繋がりがあるわね。調査員からの報告では明確にわからなかったけど、私の予想ではナイコビ商会のトップが暗殺ギルドのトップ、若しくはそれに近い人物だろうと思うわ。」
そうだな。
暗殺ギルドを自分の手足のように動かしてるからな。
なんらかの事情でそいつが後を継いだのか、それとも最初からロンギルにある商会の掌握が目的で商会を作ったのか‥
「かなりあくどい方法で店を大きくしてて、今ロンギルで1番大きな商会になってるみたいだわ。でも他の潰されていない中規模な商会が共同してナイコビ商会と対立してるみたい。中規模な商会は暗殺ギルドなんかと交流はないから傭兵団を雇ってるみたいね。確か『アウローラ』って名前の傭兵団だったと思うわ。」
ん?
なにか聞いた事がある気がする‥
「マルコイ。多分アレカンドロが所属してる傭兵団よ。」
あっ!
確かにそんな名前だったな。
「そういえばロンギル共和国はモンスター氾濫の兆しがあるんだろ?俺の知り合いがそう言ってたぞ。」
「確かにそんな話も出ているわ。だからとりあえず商会同士のいざこざは一旦やめて、モンスターの討伐をって話になってるけど、どこまで本当なのか‥」
なんか色々とキナ臭い。
なにかいろいろと絡み合ってる気がするな‥
「ちなみに暗殺ギルドは人数の把握はできなかったわ。ごめんなさい。でもこちらから信用できる筋に連絡をとっているわ。もしこちらに来るようであれば最大限協力するって。向こうの冒険者ギルドでもかなり警戒してるみたい。それだけ危ない暗殺ギルドだって事ね。できれば国も冒険者ギルドも潰したいってのが本音なんだろうけど、商会の件もあるからなかなか手が出せないでいるみたいね。」
俺たちが行ったところでギルド同士の事をどうにかできるとは思えないが‥
でも俺の大事な仲間に手を出そうとしたんだ。
その借りは絶対に返させてもらうぞ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます