第260話

家を護衛する為の魔道具が完成して数日が経った。

人形は警護する為、毎日家の中をふらふらしている。

これで自宅での安全は確保された。

まだ侵入者は現れていないのでその実力はわからないのだが。

多分大丈夫だよね‥?


夜な夜なパーティメンバーの悲鳴が聞こえていたが、日数が経つにつれて静かになっていった。


確かに夜暗がりであの人形を見ると俺も悲鳴をあげる。


イザベラさんにナイコビ商会の調査を依頼したが、まだ報告は挙がっていない。


ホット商会としては営業を自粛するわけではなく、今まで通りの快進撃を行っている。


おそらくキリーエの暗殺を依頼したヤツはそろそろ次の手を打ってくるのではないかと思っている。

商会に対してのなんらかの動きか、直接キリーエに対しての行動か。


最強自立型人形の働きが見れるのも近いかもしれない‥

とりあえずキリーエには闘技会の時にアキーエたちに渡していたペンダントをまた作って渡してある。

そしてキリーエの部屋を俺とアキーエの間にする事にした。


アキーエの着替えを覗く前に移動してしまったので少し残念だが、まあ無理矢理間違えて覗く事にする。

部屋を移動する時になぜかアキーエが悲しそうな顔をしていた。

覗いてほしかったのだろうか?


これでも不安があるのであれば、やっぱりアレカンドロ改造作戦を考えるとしよう。




そして‥

その日がきた。



深夜俺のスキル【察知】が反応した。

俺の【察知】は模倣スキルなので範囲が狭い。

もうすでに家に侵入しようとしているようだ。


剣を持ち廊下に出る。

他のメンバーはまだ寝ているようだ。

今回の侵入者はかなり慎重だな。


侵入者が家に入った瞬間に人形が反応した。

すぐに人形は侵入者のもとにたどり着く。

こいつスキル【察知】でも持ってるの?


俺は侵入者と人形が見える位置に移動する。

すでに人形は銃を構えているようだ。


侵入者は突然現れた人形に驚いたが、すぐに短剣を取り出し人形と対峙する。


人形を警戒して間合いを取ったまま様子を見ている。

まあそうだよな、いきなりこんなのが出てきたら警戒するわな。


動きを見る限り、今回の侵入者はかなりの腕前のようだ。

間合いを取ったまま動いているが全く音がしない。


そして侵入者がゆっくりと人形に向かい動こうとした瞬間に人形が銃を撃った。


人形にはとりあえず手足を狙うように指示している。

指示を入れた魔力回路は正常に作動して侵入者の足を狙った。

小さな鉄球は侵入者の足を貫通した。


「ぐわぁ!」


その場で侵入者はもんどり打って倒れる。

そして人形は‥


腕もげてた。


そうか‥


銃が壊れないように補強はしたが、人形の強度は上げてなかったな‥


強度を上げる魔力回路を組まないと‥

でもそれだと魔力供給が足りなくなるんじゃないだろうか‥

戦闘時に使う魔力を溜めるための魔力回路を大きな物に変更すべきが‥


「ううっ‥」


あ!

侵入者忘れてた。


侵入者は足を引きずりながら窓から逃げようとしていたので‥


また人形に撃たれていた。


今度は侵入者の逆の足と人形の逆の手がダメージを受けていた‥


なんだか混沌としている‥


侵入者を捕まえる。

足の出血が酷かったのでポーションを用意しようとしたが、その前に自害した。


流石に暗くならないようにと思っているが、この時だけは暗くなってしまう。

依頼を実行できなければ自害する。

依頼を受けた時からそこまで受け入れているのだろうが、目の前でそんな事をされるのはたまったものではない。


皆んなが起きてきたので、詳細を話し衛兵を呼んできてもらう。


今回は上手くいったが、情報は得られなかった。

このままでは遅かれ早かれ何かが起こってしまうかもしれない。

こちらの早く行動した方がいいのかもしれないな。

言い知れない焦燥感を覚え、マルコイはそう思うのだった‥

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