第259話
作った人形に何を装備させるか‥
考えつくのは剣を持たせたりするわけだが、それじゃ心許ない。
やっぱり一撃必殺的な何かを持たせたいと思うのは男のロマンである。
俺がそんな事をぶつぶつ言っていると、またミミウが「ロマン美味しいそうですぅ。」とか言っているが今度栗のお菓子でも作ってあげよう。
この世界の常識で考えると壁役か剣を持たせる程度。
それなら異世界の知識を使えばいいのではないかと思う。
勇者たちの知識ではあるが、かがくとやらを使えばスキルを持っていない人形でも侵入者と戦う事ができるのではないだろうか。
例えば銃。
これは装備させたら最強だとは思うが、その銃を作る方法がない。
火薬とやらは作れるが、銃の構造がわからない。
だいたいバネとか何なのそれ。
この世界にもあるのはあるが、あんなに細い鉄をくるくる巻くとか無理。
それにあんなに小さく作ろうと思ったら何年かかるのやら‥
だからもっと簡単に考える。
ようは鉄の球を鉄の筒で撃てればいいのだ。
こちらの世界には魔力がある。
細かい事は魔力回路様にお任せしよう。
部品についてはサミュウさんにお願いして一緒に作る。
サミュウさんに何を作っているのか聞かれたが、最強の武器を作っていますと答えたら何言ってんのコイツみたいな顔をされた‥
げせぬ。
いくつかの部品を作って組み立てる。
バネもちゃんと作った。
動作に耐えれるバネを作るのに5時間はかかったけど‥
ちゃんとアキーエに家にいてもらったけど、帰ったらまたしても説教された‥
しかしこれで形にはなった。
グリップを取り付けた鉄の筒だが、グリップとのつなぎ目のところが開くようになっている。
ここに鉄の球を入れて後ろに火薬を置く場所を作っているので、そこに火薬を置いて準備完了。
後は銃に魔力を流し込めば魔力回路が火をつけて火薬が爆発して鉄の球が飛び出すというわけだ。
このままだと火薬のせいで銃が壊れてしまうかもしれないので、火薬が爆発するところに魔力回路を設置して魔力を流した時に火をつけると同時にその部分を保護する障壁を出すようにした。
形状的には異世界の火縄銃?という物に近いかもしれない。
とりあえず外に出て試してみる。
大き目の岩に向けて銃を構える。
引き金を引く代わりに魔力を流す。
すると魔力回路はすぐに反応して火を作り出す。
そして‥
馬鹿でかい音を立てて鉄球が飛び出した。
鉄球は岩にめり込んだが、俺は撃った衝撃で後ろに何回か転がった。
そして耳が‥
千切れてない。
ちゃんとついてる。
でも聞こえない‥
すぐにエンチャント:水を使うことで段々とキーンと鳴っていた音が小さくなる。
な、なんじゃそりゃ!
死ぬかと思った!
鉄球は見事に岩の中ほどまでめり込んでいる。
ふと視線を感じたので上を見るとアキーエが窓から覗いていた。
するとアキーエはため息をついてる。
「マルコイ‥やり過ぎ。」
うんやっぱりやり過ぎだよな。
こんなもの人体に当たったら身体爆散するしな‥
もう少し火薬の量を少なくしよう。
そうしないと人形に撃たせたら人形が爆散しそうな気がする‥
それと鉄球を小さくしたり、連続で撃てるようにするのも面白いかもしれない。
しかしこれで何とか人形による自衛の目処が立ったな。
でも極力使わないようにしとかないと家が壊されてしまうかもしれない‥
俺はすぐに銃を改良する。
今度は火薬の量を少なくして、鉄球も小さくした。
そして鉄球と火薬を入れる場所を3箇所作り、撃った後に手で回す事で連続して3回撃てるようにした。
試しに庭で撃ってみたが、前回ほどの衝撃はなく何とか両手で持つ事で耐える事が出来た。
ふっふっふ。
これでいつ侵入者が来ても大丈夫だ。
なんなら早く来い。
そんな不謹慎な事を考えながら魔道具を見つめるのだった‥
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