第529話
「2人とも部屋にいるわよ。呼んでくるわね。」
アキーエはそう言って2人を呼びに行ってくれた。
やばかった。
一瞬勇者たちの事全部忘れてしまってた。
やはりアキーエは可愛い。
そんな事を考えていると扉が開く。
「マルコイさん、おかえりなさい!」
「マルコイ殿、お疲れ様です!自分とミミウ殿を呼んだという事は、例の件でしょうか!」
「ああ。いい感じのやつは見つかったか?」
「はい!ミミウさんの食指探索でかなりの物を見つけました。定期的に見に行ってましたが、動きはないようです!」
「ありがとう。それじゃあ案内してくれるか。」
「はい!」
俺はスキルを使ったアレカンドロと羽根人形を装備したミミウに誘導してもらい、目的の場所に移動する。
かなりのスピードで1時間程飛ぶと、アレカンドロがスピードを落とした。
「着きました!あれです!」
アレカンドロの指す方を見る。
するとそこには俺が想像していたよりも、かなり大きなサイズのドラゴンが眠っていた。
「お、おう。かなりデカイな。」
「はい!おそらくかなり古くからいるドラゴンと思われます!特に暴れる事もなかったので、そのまま様子見してますが、暴れ出したら自分とミミウ殿2人がかりになるかと思います!」
それでも2人で倒せるのね。
しかしこれをミミウの食指で探したのか‥
食べる気満々じゃないですか‥
暴れないなら、もっと小さい奴を食べた方がいいんじゃないだろうか‥
「大丈夫です!これはマルコイ殿に伝えるためにそのままにしておく必要があったので、ミミウ殿は別の地竜を倒してドラゴンステーキにして食べております!」
あ、食べてたのね。
地竜が1番美味しいって言ってたもんな。
この国の地竜がそのうち全滅してしまうかもしれない‥
それはそれでいい事なのかもしれなけど、いなくなったらどうするんだろ?
別の国にも狩りに行く事になりそうな気がする‥
それじゃあさっそく取り掛かるとするか。
俺はドラゴンを起こさないようにゆっくりと近づく。
ぐっすりと眠っているようだ。
俺が近づいても起きる気配がない。
真っ赤な鱗は一つ一つが規格外の大きさだ。
これ程のドラゴンがロンギルにいたとは驚きだ。
ドラゴンの皮膚にゆっくりと手を添える。
その時にドラゴンの目が開いた。
目の奥に知性を感じさせる。
このドラゴンはモンスターなのだろうか?
高い知性を持つモンスターはいないはずだが‥
そう思っているとドラゴンはまた目を閉じた。
すまないが、その身体を少しの間借りるぞ。
俺はスキル【アバター】を発動する。
目を開けると俺が眼下に映っている。
上手くいったようだな。
俺は『スペース』から魔道具を取り出す。
広い布の魔道具だ。
これをアレカンドロたちに手伝ってもらってドラゴンの喉の奥に取り付ける。
ちょっと吐きそうになった。
ドラゴンの目が少し涙目になった‥
でもこれで話が出来るモンスターの出来上がりだ。
まさか六腕ピエロで面白いかなと思って作った魔道具がこんな事に役に立つとは。
人生何があるかわかりませんね。
一応ブレスを吐いてもいいように、耐火素材で作っている。
それでもブレスを数回吐いたら燃えると思うけど。
まあそんなにブレスを吐くつもりはないからいいとするか。
「ガッ!ガッ!がっ!キ、きコエルか?ミ、ミウ?」
「はい!聞こえるですよ。ちゃんと言葉になってるですぅ!」
「よ、かっタ。すまなイが、お、れのかラだを、いえにもってかえっテくれないか?」
「わかったですぅ!マルコイさん今日帰ってくるですか?」
「ああ。きょうでぜんぶおワらせてかえってくるよ。」
「わーい!それじゃあキリーエさんに言ってパーティーの準備しておくですぅ!」
「わかった。たのしみにしておくよ。それじゃあ行ってくる!」
俺は2人に別れを告げて飛び立った。
勇者、グルンデルさん。
そして聖王がいるウルスート神聖国に向けて。
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