第834話

俺は目の前にいる男に近寄る。


男は剣を振り回して俺を牽制するが、ただ振り回しただけの剣など当たるはずもなく男に肉薄する。


男の近くまでくると紫色の肉塊が触手を伸ばして迎撃したきた。


特に真新しい事もない。

ダリックの時と同じだな。


警戒をしていたので特に問題なく触手の攻撃も躱す。


そして男の首を斬り落とす。


「すまないな。頼ったやつが間違いだったんだ。徐々に壊れていくより一思いにやってやるよ。」



すると男の斬り落とした首から紫色の肉塊が盛り上がってきた。


俺はエンチャント:勇敢なる者を発動して全身を侵食する紫色の肉塊を斬り落とす。


そしてすぐにエンチャント:穿つ者を発動して氷魔法を放ち肉塊の動きを止める。


「こいつらは倒したら肉塊になるぞ。リルとアレカンドロは倒したら俺かアキーエに変わってくれ。アキーエは肉塊を順次燃やしてくれ。」


「わかったわ。」


「キリーエはみんなのフォローを頼む。」


キリーエは頷くと銃を構えて全員が見渡せる所に移動する。




一度戦った相手と言う事もあり、特に問題なく10体の肉塊たちは俺に氷づけにされた後に、アキーエに燃やされ消滅した。


「よし。全部倒せたようだな。それじゃあ中に入るぞ。」


「そうはいきませんね。」


声のした方を見ると1人の男が立っていた。


「まさかこうも簡単に魔肉達を倒すとは思いませんでしたよ。これ数体いれば国を滅ぼす事も可能だと言うのに。やはりあなた達が1番の障害という事ですか。」


「誰だお前は?」


「おや?一度お会いしましたよ。王城でね。覚えておりませんか?魔物達を倒した時にあなた達が邪魔になるだろうとは思ってましたが‥まさかここまで強いとは。しかしここでの研究はかなり進みましたからね。撤退しても問題ありません。しかしこのまま逃げるように去るのも癪に触りますからね。研究の成果を試させてもらいましょう。」


確かあいつはシエブラとか言っていたな。

初めて会った時から違和感があった。

何かドス黒い物を持っているような感じはした。

政治的な何かがあって近寄ってきたのかと思っていたが、どうやら違ったみたいだな。


男のそばに1人の男が近寄ってきた。


「ヨエク!」


王様が驚き声をかける。


確かにヨエクのようだ。


しかし頬もこけ、目に光がない。

生きているのが不思議な感じに見える。


ここにきた時に突っかかってきたヨエクとはまるで別人だ。


「今現時点ではこの男が最高傑作になります。あなた達には敵わないかもしれませんが、仲間の1人や2人くらいは道連れにできるといいですが‥」


シエブラはヨエクの首に何かを押し当てる。


するとヨエクの身体に異変が起こる。


痩せて動いているのが不思議だった身体に筋肉がついていく。


しかも普通の筋肉のつき方じゃない。

明らかに異常なほど盛り上がっている。


「がはぁ!オマエらがワタしの敵だな!全員コロしてやる!」


ヨエクが腕を突き出すと、ヨエクの腕が突然伸びてきた。

今までの肉塊とは段違いのスピードだ。


すぐに身体を捻り、攻撃を躱す。


その時脇腹辺りに痛みを感じる。


身体を確認すると脇腹辺りから出血している。


躱したはずだが‥


よく見るとヨエクの腕から棘のような触手が伸びていた。


なるほど。


伸びた腕からさらに触手が伸びたのか。


通常の攻撃範囲より遥かに広いと考えないといけなさそうだ‥



「みんな注意しろ。かなり広範囲に攻撃が届くぞ。避けた後に触手に注意するんだ。」


皆が一様に頷く。


「避けるより攻撃したほうが良さそうですな!」


アレカンドロがスキルを発動して大斧で攻撃を仕掛ける。


「がぁっ!」


ヨエクに大斧が食い込むが、途中で止まり断面から触手が伸びてくる。


すぐに大斧を手放して距離をとるアレカンドロ。


しかし触手は更に伸びてアレカンドロに襲いかかる。


伸びた触手がアレカンドロに達する寸前に触手が弾け飛ぶ。


キリーエが放った銃弾のようだ。


思っていたよりも手強そうだな‥








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