第835話

トゲトゲつきの伸びーるパンチは結構厄介だな。


しかしこのパーティなら問題はないだろ。

あるとしたら王様くらいだけど、鉄人形アシュラ君バージョン鉄塊がきっちりと相手の攻撃をシャットアウトしている。


おおう?


鉄人形のアシュラ君が盾を一斉に構えたと思ったら上半身を回転させだした。


近寄ってきた触手を全てぶった斬っている。


凄い!

そんな技教えたつもりないんだけど、効率を考えて自然と編み出した技なんだろうか‥

『盾大回転クラッシュ』と名付けてやろう。


ただ問題なのは、護るべき対象が回転の中に入っていて、凄く驚いて引き攣った顔をしているんだけど。


確かにあんな恐ろしい回転している中に入りたいとは思わないよな。


少し動いたら身体真っ二つになりそうだもん。


あ、王様が鉄人形の下半身にしがみついている。

確かにそれが1番安全だと思う。


あの程度なら問題ないだろう。


あとは今までの肉塊と同じように斬り刻んで燃せばなんとかなるだろ。


するとヨエクが左腕を後方に下げた。

おそらくまた左腕を伸ばして攻撃してくるのだろう。


だったらそれを躱してから近寄るとしよう。


ヨエクが腕を伸ばす。


ん?

何か違和感がある。


「『召喚多重装:ノーム』さんですぅ!」


ミミウがパーティの前に立ち、盾を構える。


そこにノームたちが入り込み、全員を護れるほどの巨大な盾となった。


その盾に轟音を立ててヨエクの拳がぶつかる。


なんだ?

威力と速度が段違いだぞ?


ミミウが盾で防いでくれなかったら、何人か攻撃を喰らったかもしれない。


盾にぶつかった物を見ると、それは確かにヨエクの腕だった。


いや、正確には腕だった物か。


ヨエクは今までと同じように腕を伸ばしたのではなく、切り取って投げつけてきたってところか?


切り離された腕は周りを触手で攻撃しながら、ヨエクの方に戻ろうとしている。


まるで俺がゴーレムに取り付けている『飛び出すパンチ』のようだ‥


しかし‥


しかしあまりにも浪漫がないぞ!


それだと、自分の手を千切って投げたみたいな感じじゃないか!


落ちた後にも触手で攻撃してるけど、伸びた先からリルに斬られてる。


やっぱり『飛び出すパンチ』は当たったら、飛んで戻ってくるか、爆発しないと!


俺はすぐさま『スペース』から木偶人形を取り出す。


そして右腕を取り外し、スキル【創造】を使用する。


「『創造:爆破式飛び出せパンチ君』!」


木偶人形の右腕は光沢のある黒ではなく、鉄の焼け肌のような鉄色となった。


「よし!木偶人形黒鉄パンチ君、今こそ男のロマンである真の『飛び出すパンチ』を見せてやれ!」


後方でマロンマロン言っているミミウさんはそっとしておき、とりあえず目の前のヨエクに真のロマンをぶつけてやるんだ!


木偶人形黒鉄パンチ君は中腰の姿勢で右腕を引き、正拳突きの構えをとる。


そして右腕を前に突き出したと同時に、関節部分で軽い爆発が起こり腕が切り離される。


右腕はそのまま爆炎を後方に撒き散らしながら、ヨエクに向かって一直線に飛んでいった。


いいぞ『飛び出すパンチ』!

かっこいい!

ただ、推進力を得るために使った火薬の量に関しては再検討する必要があるな。


せっかくエンチャント:慈愛ある者でアフロを治したのに、またアフロってしまったからな。


う〜む‥

プリカに来てからアフロ率が高い気がするんだけど‥



ヨエクは自分に飛来してくる鉄の塊を撃ち落とそうと触手を伸ばす。


しかしその全てを押し潰し、引きちぎりながら『飛び出すパンチ』は突き進んでいく。


「ぐぬぅ‥」


ヨエクは両腕だった物を交差させて防御体制をとる。


そこに『飛び出すパンチ』が突き刺さる。


刺さったと同時に爆音が鳴り響く。



炎と爆煙が舞い上がり、ヨエクを包み込む。


「みんな気をつけろ。隙を見せるなよ!」


そんなに効いてはないだろう。

煙に乗じて攻撃してくるかもしれないからな‥


煙が晴れていく‥


煙が晴れた場所には片腕が肩から千切れそうになっているヨエクが立っていた‥


あれぇ‥?









‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


みなさま明けましておめでとうございます。

新年早々散々な目にあいましたが、今年も頑張ってマルコイたちの物語を書き続けたいと思います。

お付き合いの程、どうぞよろしくお願いいたします\(//∇//)\

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