第166話
ミミウが出したそれは真っ黒い正に壁の様なものだった。
ガルヘアの攻撃を防いだ後は崩れるように地面に落ちていった。
あれも砂鉄なのか?
あの大量の砂鉄を攻撃される瞬間に引き寄せたって事か。
まるで本当に壁の様だった。
あれをある程度自由に動かせるのであれば、ミミウは正に動く要塞のようだ。
ガルヘアは何が起こったかわかっていないようだ。
その隙をミミウのショートスピアが襲う。
反応がワンテンポ遅れている。
腕で防御しようとしているが間に合わないだろう。
先制の攻撃はミミウだ。
ミミウのショートスピアがガルヘアの身体に触れる。
しかし‥
ミミウのショートスピアはガルヘアの身体に刺さることなく弾かれた‥
やはりと言うか、ロッフトの矢が弾かれたのは見間違いではなかったようだ。
何らかのスキルだろう。
でなければ装備品もなく闘技会に参加するとは思えない。
皮膚の硬質化のようなスキルだろうか?
しかしそんなスキルがあるのであればなぜ躱そうとする?
スキルを隠して優位性を保つためか?
ショートスピアが弾かれた事で隙を見せると思いガルヘアはミミウに襲いかかる。
しかしミミウは焦らずに次の攻撃備えていた。
終始笑顔を見せていたガルヘアに少し驚きの表情が見れる。
残念だったな。
その可能性がある事は事前にミミウに伝えてある。
まさかロッフトと闘った時の事を誰にも見られていないとでも思っていたのか?
しかしガルヘアの表情は元の笑みを浮かべたものに戻りミミウに迫る。
ガルヘアの攻撃はミミウの盾に全て防がれているが、構わず殴りかかっている。
ガルヘアの攻撃が大振りになった。
それを見たミミウは再度攻撃の足場を崩す為に地面にある砂鉄を引っ張ろうとする。
ガルヘアは笑みを浮かべ
「かかったな。」
と告げて足を力強く地面に踏み込む。
すると足場に落ちている砂鉄が宙に舞い上がった。
ガルヘアはそのまますり足でミミウに近づき拳を繰り出す。
砂鉄を操る事に気を取られていたミミウに隙が出来ていた。
反応が少しだけ遅れたミミウは、拳を盾の縁で弾くが、軌道を逸らしきる事は出来ずに肩を掠める。
その衝撃でミミウは持っていたショートスピアを地面に落とす。
落としたショートスピアはすぐにガルヘアが蹴り飛ばし、場外まで飛ばされた。
ミミウの腕は動かせないのだろう、力なく下がっている。
ただ掠めただけのその拳でミミウの腕は動かなくなったようだ‥
ミミウは防御に特化しているが、肉体自体の防御力が高いわけではない。
しかしそれを差し引いたとしても、やはり攻撃の威力が高い。
放った拳を硬質化でもしているのだろうか?
たがまだ魔道具は発動していない。
だからまだミミウは棄権しないだろう。
それに‥
それにミミウの目はまだ諦めていない。
メイン武器となるショートスピアがなくなったが、まだ攻撃手段が残っているのか?
盾で攻撃するにしても威力は望めない。
盾以外での攻撃なのか、それとも別の何かがあるのだろうか‥
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