第789話
アレカンドロの攻撃で紫色の肉塊は身体の至る所から血を噴き出している。
動きも鈍くなっているし、そろそろ倒す事ができそうだな。
その時、千切れた肉片が不自然に動き出したのが見えた。
なんだ‥?
その肉片は本体の方に向かい進んでいる。
まさかな‥
嫌な予感がする‥
動き出した肉片は本体の近くまで行くと、本体に向かって飛び込むように動いた。
千切れた肉片は本体に引っ付くと、そのまま吸収されるように消えた。
ちっ‥
嫌な予感が的中したみたいだ。
アレカンドロが終始優勢に進めているけど、戦いが長引いたら負けるかもしれない。
アレは多分ダメージを喰らってはいるんだろうが、千切れた物を吸収して回復してやがる。
「アキーエ!アレはあのままじゃ倒せないようだ。すまないが魔法の準備をしておいてくれ。」
「わ、わかったわ。」
「ルパートさんたちは下がってください。」
「わ、わかった!すまない!」
「イェルンさんも王様と一緒に下がっ‥」
あっ!
イェルンさんもうあんな所に逃げてやがる。
イェルンさんはクィリーノさんと王様と一緒にかなり離れた場所に移動しており、腕で丸の形を作っている。
わかっている。
わかっているが何かムカつく‥
新しいスキル【創造士】で作る新しい魔道具の最初の犠牲者は絶対イェルンさんにしよう。
間違えた、被験者‥実験台‥‥
まあいい。
兎に角素敵な物をプレゼントしよう。
俺は肉塊に大斧を振り回しているアレカンドロに声をかける。
「わははははっ!」
た、楽しそうに大斧を振り回してるなぁ‥
あれって【聖鎧闘士】に譲与結合したときに結合された【狂戦士】とか関係ないよね?
少し心配になってしまうぞ。
「おい!アレカンドロ!そいつはそのままじゃ倒せない!一旦下がれ!」
「承知しました!あと30分したら一旦引きます!」
おい‥
俺たちは30分見てればいいのかい?
「冗談です!次の攻撃で下がります!」
あ、冗談なの?
君の場合は冗談に思えないんですけど‥
アレカンドロは大斧を大きく振りかぶって叩きつけた。
大斧には風の力が宿っており、叩きつけたと同時に血と肉片が飛び散った。
そしてアレカンドロはすぐにその場を飛び退いた。
よし!
肉塊は回復しようとしているが、その前に決着をつける!
俺はエンチャント:穿つ者を発動させる。
魔力を練り魔法を放つ。
「凍える息吹よ、彼の時を止めよ!『氷結雪牢』!」
俺の氷魔法は肉塊の熱を奪い、活動を停止させる。
本体に飛びつこうとしていた肉片も同じように凍りつく。
エンチャント:氷を使ってたのもあって、氷魔法はイメージがし易くて高威力が出せる。
そう易々と抜け出すことはできないだろう。
このまま放置しておけば、いずれ復活するだろうな。
きちんと始末しておかなければ‥
「アレカンドロ、とデカい一発を頼む。その後にアキーエの魔法で焼き尽くそう。」
「承知しました!」
「わかったわ!」
2人が準備に入る。
アレカンドロが空高く舞い上がり、大斧を構える。
アキーエが魔力を練って魔法の発動準備に入る。
「アキーエ!ほどほどだぞ!ほどほど。」
「えっ?焼き尽くすのよね?」
「そうだ!だけど、あの肉塊だけを狙ってくれよ。」
「うっ‥わ、わかったわ。」
ただの勘だ。
ただの勘だけど、そのままアキーエに任せて魔法を撃たせると、ここら一帯が焦土になりそうな気がする‥
多分言わなかったらそうなってたと思う。
恐ろしい娘っ!
アレカンドロが上空から肉塊目指して物すごいスピードで突っ込んでいく。
最初攻撃した時の2倍くらいの高さから突っ込んでいる。
「大斧烈風隕石落とし斬!」
もの凄い音と共に、砂塵が舞う。
あれだけの高さからの攻撃だ。
スピード、質量、重量で恐ろしい程の威力になっている。
もうある意味人間隕石だな‥
ただ技名に関してはもう一度話し合う必要があると思う。
『超強力メテオヘルスラッシュアタック』とか。
「彼の場所に炎界を顕現せよ『炎封熱波』!」
アレカンドロの攻撃で飛び散った肉塊に、アキーエの魔法が放たれた。
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