第401話

クワイスが木偶爆弾のボタンを押す。


そして勢いよく荒野に投げる。


クワイスの投げた木偶爆弾は綺麗な放物線を描いて荒野に落ち、何度か跳ねた後に止まった。


おお〜!

落ちてすぐ爆発はしなかったな。

衝撃で爆発するかと思ったが思いの外、丈夫だったみたいだ。


もう少しでばくはつ‥



大きな音ともに衝撃が岩陰まで襲ってきた。


衝撃の波が身体を揺らす。


あれ?


威力が結構凄いことになってるような‥?


しばらくすると音と衝撃が過ぎ去り、呆然としたクワイスと首をかしげるマルコイが残った。



「‥‥‥‥。」


「あれ?少し威力が予想より強かったな。でもこれくらい威力があればモンスターに投げたら爆殺できるだろ。」


「いやいやいやいやいやいやいや!」


我に返ったクワイスが詰め寄ってくる。


「なに?なんなのアレは?なんであの大きさであんな威力が出るの?地面が抉れてるじゃないですか!」


う〜ん。

種明かしをすると火薬も土と一緒みたいな物なので【スードウクリエイター】でいじれないかなと思ったら扱えたんだよね。


だから火薬を圧縮してあの大きさに通常入る量の30倍くらいの火薬を詰めたのが原因だろうか‥?


しかしあそこまで威力がでるとは‥

少しやり過ぎたかな?


「まあまあ。これでドラゴンが出ても怯ませる事ができるじゃないか!」


「いや怯ませるどころじゃないでしょ!何発か直撃したらドラゴンでも絶対倒せますって!」


そうかな‥?

もうクワイスったら大袈裟なんだから。


「まあそれならそれでいいじゃないか!羽根人形で空を飛んで、上から木偶爆弾を落とす!いいね!ただ結構上から落とさないと、爆発の余波で羽根人形をつけている人が制御不能になるくらい飛ばされるかもしれないから気をつけてもらわないとな!」


う〜ん。

いいね無敵攻撃じゃないか!

遥か上空の見えない所から爆弾を落とすとか防ぎようがないんじゃないか?


エルエス兄さんのように高レベルの投擲持ちなら何とかなるかもしれないけど、モンスター相手なら間違いなく防げないだろ。


楽しくなってきたぞ!



「マルコイさん‥楽しそうだね‥」


いかんいかん。

クワイスにジト目で見られてしまった。


「これで一発減ってしまったけど、29発の木偶爆弾があるから大抵の相手なら問題ないだろ?後は羽根人形を背負った状態で木偶爆弾を運べるようになってもらわないとな!その辺は練習あるのみだから、『アウローラ』の団員から希望者を募って練習してくれ。」


「いや‥大抵の相手どころか国の都市部に落としたら無条件で国が降伏しそうな勢いなんだけど‥」


「何を言ってるんだ!まだまだ改良の余地があるぞ。今回の火薬はお試しだったから抑え目にしているけど、まだ大きさや圧縮率を変える事で更に強力な‥」


「いやもういいです!とりあえずこの預かった29個で充分なので爆弾はこの辺でやめといてもらって結構です!」


ちぇっ。

残念‥


でもまだまだ色々と試してほしいから『アウローラ』の人たちには頑張ってもらわないとな。


「クワイス。あとこれを持っててくれるか?」


俺はペンダントヘッドを渡す。


「このペンダントは普段は何もならないけど、魔力を込めたら音が鳴るんだ。そして魔力回路で音だけが転移して俺に知らせてくれる。そしたら俺は急いでアレカンドロの家に転移してくるから。」


ペンダントには小さな人工核も埋め込んでいる。

なので直接クワイスの元に転移もできるようにしているのだが、誰がいるかわからないからな。


王様の目の前で困って俺を呼ばれたりでもしたら、俺が困ってしまう。


「一応ペンダントヘッドにしているから、ペンダントにして首から下げててもいいし、普通に持ち運んでもいい。誰が魔力を込めても鳴るけど、できればクワイスが持っててくれよ。」


「ありがとう助かるよ。でもこれだけの装備や魔道具を持ってきてもらったんだ。これでマルコイさんを呼ぶときは、それこそ魔王でも来た時だよ。」


いや、魔王が来たら俺じゃなくて勇者を呼んでほしいのだが‥


さて、後はエルエス兄さんだな。

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