第710話

マジで勘弁してほしい。


何故あのタイミングで光るの?

てかなんで光ったのよ?


なんのスキルも使ってないのに勝手に光るとは‥


ん?


何となくあのタルタル好きの女神の仕業のような気がする‥


くっそー‥

絶対そうに決まっている‥


今度あったらタルタル使って絶対問い詰めてやる!


俺はそう心に決めてからクワイスたちの元に戻る。


クワイスたちはもうある程度準備を終わらせているようだっだ。


「クワイス!もう準備はいいのか?」


「ああ。傷が深かった奴もマルコイさんからもらったポーションのおかげで歩けるくらいにはなったからな。」


「そうか。それはよかった。俺はアキーエたちのところに行きたいが、転移するにも魔力が足りないから、少し距離を縮めるのと魔力が回復も兼ねて俺もクワイスたちについて行くよ。」


「わかった。」


「マルコイさん!」


ラケッツさんが変態を荷車に乗せてやってきた。


「この人どうします?」


む?

このまま連れて行ったら起きた時面倒だよな‥


「そっと神聖国の馬車か何かに乗せといてくれ。それと‥」


俺は木札を取り出し、それに『エルフの国に行ってくる マルコイ』と書く。

そしてそれを変態のポケットに入れる。


「よし、これで大丈夫。」


「うわぁ‥可哀想に‥」


馬鹿言いなさいラケッツさん。

こんな奴について来られたら面倒極まりない。


これで問題解決だな。


「よし、それじゃあ帰還するぞ!」


クワイスの声で傭兵たちが動き出す。


長かった帝国との戦いもこれで一区切りといったところか‥





多分これから神聖国では働き手である夫や家族を失った人たちが路頭に迷う事になるだろう。


グルンデルさんの事だ、どうにかしてその人たちを保護しようとするだろう。


だが保護するだけでは国の財源が減っていくだけだ。

国が活性化するには経済を回す必要がある。

必要なのは保護じゃなくて、明日を生きる力だ。


多分キリーエは神聖国もホット商会で席巻するつもりだ。

その時に雇用する人を今回の戦争で愛する人を亡くした人を優先して雇ってもらう事にしよう。


後でキリーエに伝えとかないとな。

多分言わなくてもそうすると思うけど、念のためな。


「マ、マルコイさん‥」


考え事をしているとラケッツさんに声をかけられる。


「どうしたラケッツさん?」


驚いた顔をして俺を見ているラケッツさん。


「いや、マルコイさん‥光ってるんですけど‥」


ラケッツさんに言われて自分の身体を見る。


するとグルンデルと話していた時と同じように、俺の身体が淡く光っている。


そしてしばらく経つと光が消える。


「マ、マルコイさん‥い、今のは?」


「気にするなラケッツさん。多分どっかのタルタルにまみれている女神の悪戯だ。」


「えっ?え?え?」


多分俺が神聖国のために何かしようと思ったからだろうな‥


なんだ一体?


いい事をしようとすると光るのか?


よくわからないけど、光るのはアイツの専売特許だ。


とりあえず‥

放っておこう‥





しばらくクワイスさんたちと行動を共にしていると、距離的なところもあり転移する魔力が溜まった。

何故か少し魔力の総量が上がったようで、思っていたよりも早く溜まった。


「クワイス。魔力が溜まったから、一旦アキーエたちのところに行ってくる。」


「そうか。結構早かったな。アレカンドロによろしく伝えてくれ。」


「ああ。今度アレカンドロ連れて拠点に来るよ。」


俺はクワイスにそう伝えて、ミミウのペンダントの位置を探す。

アキーエに渡したペンダントはバカ魔王に壊されたからな。


よし、捉えた。

プリカにまだいるようだな。


魔力を練り転移の準備をする。


「それじゃあ。」


俺はクワイスたちに別れを告げて転移する。


目の前にいたクワイスたちが消えて、新たな景色が目に入る。



「だから!そのモンスターの素材を寄越せと言っとるんだ!」


「何でなん?全く話にならんわ!」


するとそこには、何故かドワーフと言い争っているキリーエさんがいた。

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