第711話
「だから!城壁を壊したから言うて何でモンスターを渡さなあかんわけ?意味がわからんわ。うちらはこの街を護るためにきたんやで?それやのに終わったら壊した壁を弁償しろ?しかもお金やなくてモンスターの素材を全部寄越せ?ありえへんわ!」
めちゃくちゃキリーエさんが怒ってますね。
「そっちが勝手にやって来て、勝手にモンスターと戦って街の壁を壊したんだろうが!我らだけでも充分相手する事ができとった!それを勝手に倒して素材も渡さんなど道理が通らんわ!」
あ〜あ‥
なんだよそれ。
こんなやつら助ける必要があったのか?
みんな大変な思いをしたのに‥
素材なんて渡して今後関わらない方がいいんじゃないか?
「みんなどう思う?マルコイさんもそう思わへん?ってマルコイさん?」
「おう。今戻ったぞ。何か面倒な事になってるな。」
「そうなんよ。勝手に戦って城壁壊したんだから、モンスターの素材を全部寄越せなんて言うとるんよ。」
とんでもない奴らだな‥
「面倒だな。素材渡して帰った方がいいんじゃないか?そしてトールルズとは二度と関わらないとか?」
「そやけど‥」
キリーエはミミウとアキーエを見る。
2人は涙目になっていた。
アキーエは城壁を壊した罪悪感とミミウはお肉を取られると思ったからだろう‥
うん。
許さん。
2人を泣かすだと?
素材捨てて帰ろうと思ったけど‥やめだ。
この国と戦争しても持って帰ってやる。
「お前ら随分とふざけた事言ってるな。俺たちがいなくてもモンスターを倒せた?なら今から俺がこの街を攻撃するから防いでみろよ。防ぐ事ができたらモンスターを倒せたという事にしてやろう。」
俺は『スペース』から木偶人形たちを出す。
かなり使ったけど、まだまだあるからな。
ドワーフの顔がひきつる。
「な、な、何だそれは!それに街を攻撃するだと?そんな事許されるわけがないだろうが!」
「はあ?知ったことかよ。お前らは俺の仲間を侮辱した。だったらお前らは俺の敵だ。敵を倒すためなら、俺はどんな手段でもとるぞ。」
「な、なんだとっ!貴様脅すつもりか!」
脅すなんてとんでもない。
俺はアキーエやミミウのためなら本気で国でも戦うつもりだぞ。
今の仲間と魔道具があれば、勝てないまでも負けて無理な要求を飲まさせる事はないだろう。
いざとなればこのドワーフだけでもとりあえずぶっ飛ばす。
「待て!」
突然ドワーフの後ろから声が聞こえる。
「申し訳ない!我らの街を護ってくれた方々よ!」
いちゃもんつけてきたドワーフの後ろから文官のような格好をしたドワーフがやってきた。
「不快な思いをさせて申し訳ない。ヨエク将軍!一体どういうつもりですか!国を救ってくれた方達にそのような態度をとられるとは!」
「うるさいイェルン!文官風情が口を出すな!これは将軍である俺の分野であろうが!」
ヨエクと呼ばれたおっさんが唾を飛ばしながら喚き散らしている。
「文官風情と言われますが、役職的には貴方と同格。それに戦いの後の処理については、将軍の仕事ではないはずです!この件に関しては、私が王より承っていますので将軍はお帰り願います。」
「なっ!くそっ!ちっ‥‥おいお前ら!こいつからどんな話をされようともモンスターの素材は置いて行ってもらうからな!」
「おい。」
俺はヨエクを呼び止める。
「あんたが欲しがってる素材なら戦場にまだ落ちてるぞ。アンデッド化してるけど、それを拾い集めろよ。」
「なんだと貴様!我らにアンデッドを漁れと言うのか!」
うるさいなこいつ。
「人の功績を横取りしようとする奴にはお似合いだろ?それともやっぱり俺たちから奪ってみるか?」
ヨエクは後ろに控えている木偶人形たちを見て後ずさる。
「ちっ!ふざけよって!必ず後悔させてやるからな!どけっ!」
ヨエクは周りにいる兵士をかき分けて去って行った。
ムカつくなアイツ‥
木偶爆弾でも投げてやろうかな‥
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