第461話
俺が羽根人形で先行部隊に追いついた時には、すでに先行部隊は目的地付近に辿り着いていた。
その場所からはかなり遠方にはなるが、もうモンスターがその姿を見せていた。
先行部隊の元に辿り着くには、まだ30分程度はかかりそうだが、その間に魔道具の設置は終わるだろう。
やはりモンスターの群れは真っ直ぐに聖都を目指しているようだ。
もしかしてこのモンスターの群れに魔族が潜んでいるのかな?
もし居たとしても俺が作成した魔道具の暴力の前に尻尾を巻いて逃げ出す事だろう。
ふっふっふ。
先行部隊はエルエス兄さんが率いているようだ。
エルエス兄さん自身も『脚がいっぱい速いぞ君』を装着して、『ガルベスト』だけではなく、まだ団長や副団長が到着していない『アウローラ』にも指示を出している。
エルエス兄さんの指示の元、『踏んで大変木偶爆弾』を設置していく。
設置した人は、随時エルエス兄さんに報告している。
それをエルエス兄さんが木札に書き込んでいる。
よかった。
お願いした事をちゃんと守ってもらってる。
もし設置したままにしておいたら、後で大変な事になるしな。
そこを通るのが、神聖国のお偉いさんとかならどうでもいいけど、そんな奴らがここを通るとは思えないしな。
設置を完了して、先行部隊は少し後方に下がる。
初めて扱う魔道具という事もあり、なかなか時間がかかったが、なんとかモンスターが到着する前に全ての魔道具の設置が終わったようだ。
後方に下がった蜘蛛脚部隊‥じゃなかった『脚が速いよ君』部隊‥だったかな?
その後ろには羽根人形部隊が木偶爆弾を持って待機している。
もうモンスターはどのモンスターがこちらに向かっているかわかるくらい近づいて来ている。
オーク、オーガにゴブリンもいる。
大きいのになるとサイクロプスなんてのもいるようだ。
モンスターが設置場所を通るのを待っていると、後続の傭兵団が到着した。
一番乗りはゴーレムに乗ったスキャンだった。
ゴーレムの腕に載っているライリーが涙目になっている。
お尻割れてないかい?
続いてクワイスやスネタさんも到着した。
「どうにか間に合ったようだな。まだ狼煙の爆発音が聞こえてないから大丈夫とは思ったが。」
「ああ、今からだ。クワイス。羽根人形部隊への指示をお願いするよ。」
「わかった。」
そして全員が見守る中、モンスターの先頭が設置された爆弾の元に到着した‥
凄まじい爆発音が響き、モンスターが宙に舞う。
まだ先頭が一つ目の爆弾を踏んだだけだが、かなりの数のモンスターが爆発に巻き込まれたようだ。
しかしモンスターは怯む事なく、進んでくる。
そして設置した爆弾を次々に踏んで爆発させる。
連続した爆発音と砂塵が舞い、先頭に突っ込んできたモンスターが軒並み死体と化す。
後続に来ていたモンスターも爆発による地面のへこみに足を取られて前に進めないでいる。
それを見てクワイスが羽根人形部隊に指示を出す。
「『アウローラ』の空戦部隊よ!爆弾の投下を始めろ!モンスターがいない所には落とすなよ。モンスターが密集している所目掛けて投げつけてこいっ!」
「「「おーっ!」」」
掛け声と共に羽根人形をつけた団員たちが空に向かって飛び立つ。
それぞれモンスターの場所を視認しながら、爆弾を投下していく。
そしてまた爆発音が鳴り響く。
クワイスと実験して知ってたけど、連続で使うと凄いのな。
音と地響きがとんでもない。
多分これ神聖国とかにも気づかれそうだなぁ‥
まあしょうがない。
それは傭兵団が勇者のためにって事で乗り切ってもらおう。
ちゃんと実験ついでにモンスターやっつけて、神聖国の援助をしているから大目に見てくれるだろ。
砂塵が晴れて、戦場が露わになる。
そこにはモンスターの死体の山と、怪我を負ったモンスター。
そして辛うじて爆発に巻き込まれなかった、足の遅いモンスターが残っていた。
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