第462話
よかったー!
モンスターは全滅しなかった。
まだまだかなりの数が残っているようだ。
ここからは近接用の魔道具を渡した人たちの出番だな。
お!
大型のモンスターがいるな‥
あれはトロールか?
その大型のモンスターに向かって矢のように飛ぶ槍があった。
槍は着弾と同時に凄まじい爆発を起こす。
おおー!
あれはエルエス兄さんの『投げてどっかん君』だな。
その後も速射のように爆発する槍が飛んでいる。
さすがに早い段階で渡してただけあるな。
槍がほぼ着弾と同時に爆発している。
どのくらい魔力を込めたら、どの程度の時間で爆発するか、しっかり試していたようだ。
さすが脳筋兄貴でも副団長といったところかな。
エルエス兄さんは蜘蛛脚を使って場所を変えながら、自身が1番効果的に武器を使える所を探して移動しながら槍を投げている。
移動用魔道具も1番使いこなしているのは、エルエス兄さんじゃないだろうか?
いや、スネタさんがいたか‥
まああれは規格外だろ。
近接戦ではメンセンとスキャンが前に出ている。
メンセンは『シャッター鎧君』を装備してモンスターの密集している所に進んで入っている。
その中で鉄製と思われる、大きな棒を振り回している。
あの人スキル【棍士】とか持ってなかったよな?
それじゃあ、あれって多分力任せに棒を振り回している事になるのかな?
技術面では全くだから対人戦では使えないだろうけど、モンスター相手にただ振り回すだけならスキルがなくても問題ないようだ。
だから密集している所に進んで入ってるんだろうな。
スキャンはゴーレムを使いこなして、戦場を駆け回っている。
確かにいつものスキャンと違って、ゴーレムを操作しながら笑っている。
なんか少し怖いんだけど‥
その後ろをついてライリーが何か叫んでいるけど、スキャンは気づいてないようだ。
するとライリーがその場に立ち止まった。
おお!
いよいよ魔道具を使うようだ!
ライリーが魔力を込めた事で、装着している魔道具が反応した。
四肢につけている輪が反応して上下に開く。
するとその中から黒い布が出てきて広がった。
魔力に反応した黒布は同じ黒布を求めて、別の布を押しのけながらお互い広がっていく。
別の黒布と接触した黒布はお互い結びつき、身体の表面を覆う伸縮性のある布となった。
そして胸元のペンダントと腰のベリーチェーンが開き、白い布が現れる。
それは上半身と、下半身を優しく覆うトップスとスカートになる。
トップスは大きな襟があり、胸元にリボンが付いている。
スカートはヒダが付いており、ライリーの動きに合わせて動きを見せている。
俺は思わず心の中で叫んだ。
(魔法少女ライリー参上!)
女性の装備品で参考になるのがあればと、異世界の知識から得た物が、今ライリーが装着したセーラー服と言われるタイプの服だった。
ライリーだと鉄製の鎧の場合、重量で動くのが難しいだろう。
そこで布製の物に魔力回路を取り付けて防御力を上げる事にした。
そして上からの更に羽織る物に別の魔力回路を取り付けて戦闘に適した物に仕上げた。
普通の洋服でもよかったと思うが、戦う時の衣装が普段の物と違う方が本人もわかりやすいし、装着する事をしっかりと認識してくれるだろう。
ただ、それがセーラー服みたいになってしまったのは、若干正人の好みに寄せたかったのはあると思う。
いや寄せました。
ライリーは自分の出立ちに多少困惑しているが、身体能力が上がっている事に気づいたのだろう。
その服をひらめかせながらスキャンを追いかけて行った。
近づいてくるモンスターに短剣を投げながら‥
本当は魔法を使うステッキなどを持たせた方が良かったのだろうが、間に合いませんでした!
だって魔道具で魔法再現するが難しかった!
火炎放射器ならいいんだけど、何もない所から火の玉作って飛ばす事が、要検討でした。
戦場の中で、1人スカートをはためかせながら道具袋から短剣の束を取り出して、モンスターに投げる少女‥
正直面白い。
ちなみに元着ていた洋服はビリビリになって足元に落ちてます。
はいそうです。
服の事を失念してました。
ライリーが魔道具を解く前に説明しとかないと、やばい事になるよね‥?
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