第214話

「それでは闘技会準決勝を始める。リュストゥングとシュッツガウトの両名は場内へ。」


スキル【換装戦鎧】を持っているリュストゥングは今回も何も持たずに参加している。


対するシュッツガウトは両手に剣を持っている。

確か双剣を使う人だったな。


「両者準備はいいか?それでは闘技会準決勝を始める。」


「始めっ!」


試合が始まった。


「『着・闘鎧』」


リュストゥングがスキル【換装戦鎧】を使用して鎧を着装する。


それに対して双剣使いのシュッツガウトは様子を見るように一定の距離を保ちながら間合いを図っている。




ふと視線を感じた。

まとわりつくような視線だ。

同じような感覚を最近味わったなと思って考えるとオーガキングの時と同じ感覚だった。


周りを見るとこちらを睨みつけているガルヘアと目があった。


ガルヘアは俺の方に歩いて来ている。

試合は次だというのに何か用だろうか?


「おい。確かマルコイと言ったな。」


「そうだが何のようだ?闘いたいならもう少し待てないのか?どうせ次の試合で当たるんだ。」


「ふん。そうだな。しかし試合が始まる前にお前に1つ聞きたい事がある。」


「なんだ?俺もお前に聞きたい事はあるが、闘技場内で話すつもりだった。中では聞けない事なのか?」


「うるさいやつだ。お前は俺の質問に答えればいいだけだ。」


何だこいつは?


「俺と闘ったお前の仲間だが、なぜまた強くなっている?もしかしてお前も‥」


ガルヘアは俺を指すような視線で見ている。


「お前も‥分け与える事ができるのか?」



なっ!



「‥‥‥なんの事だ?分け与える?」


「ふん。答えるような事はしないか。まあ死にかけたら話すかもしれんな。」


そう言ってガルヘアは俺の前から去っていった。


俺はガルヘアの言った言葉が衝撃的過ぎてその場から動けないでいた。


なんとか表面は繕った。

しかし予想もしてなかった言葉だったので思わず動揺してしまった。

確信はしなかったとしても怪しいとは思われたかもしれない。


分け与える‥?


俺のスキル【模倣】の『譲渡』や『譲与結合』の事を指しているのか?

それに「お前も」だと?


俺以外に同じようなスキルを持っているやつがいるって事か?


ガルヘアに聞くことが更に増えてしまったな。

素直に答えるとは思えないが、あいつの言った言葉ではないが追い詰めてから色々話してもらうしかないのかもな‥



ガルヘアが去った後、場内に目を移すとシュッツガウトがリュストゥングの攻撃を腹部に受け動けなくなっていた。


「それまで!勝者リュストゥング!」


リュストゥングが勝ち名乗りを受け決勝へと駒を進めた。


会場で歓声が上がる。


さすがにSランク。もの凄い歓声だ。

しかし男性の「兄貴ーっ!」って声が多数聞こえている。

闘い方からすると確かに漢のファンが多そうだ。



さてガルヘアとの試合だな。

あいつが何者が教えてもらわないとな。

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