第213話

オーガ討伐の緊急依頼から数日がたった。


討伐後にはキリーエが米処アキーエを貸し切ってくれていたので、知り合いの冒険者と一緒に宴会をして盛り上がった。

結構な額になったと思うが、キリーエは俺たちが無事に帰ってきたお祝いだと言って全部払っていた。

大丈夫かと聞いたら商会の経費にするとかしないとか‥

さすがだ。

さすがなのか‥?


闘技会の準決勝までは休養と軽い運動だけで過ごした。


そして‥


今日は闘技会の準決勝の日だ。



対戦相手は会場に着くまでわからない。

リュストゥングになるのかシュッツガウトか、それともガルヘアなのか‥


会場までの道のりを歩く。

先日のオーガキング討伐が噂になっているのか、いろいろな人に声をかけられる。


はじめての経験だったので、どうしていいかわからずにいると、アキーエから「手を振っていればいいのよ。」と言われ手を振りながら来た。


振り過ぎて肘が痛い。


会場に着くと他の3人はすでに到着していたようだ。


会場に張り出されている対戦表を見る。


う〜ん、女神様ってやっぱりいるのかもね。


第一試合


リュストゥング対シュッツガウト


第二試合


ガルヘア対マルコイ


ミミウにやった事に対してのお返しをしないといけないとは思っていたけど、それ以外にもいろいろと聞きたい事もできたしな。


ガルヘアの方を見ると相変わらず俺を睨みつけている。

今じゃなくて闘いの時にいろいろ聞くつもりだから今は相手する必要はない。

少し待っててもらおう。







アキーエに付き合ってもらい軽く身体を慣らしていると大きな人影が現れた。


リュストゥングのおっさんだ。


「マルコイと俺の未来の嫁よ。」


アキーエがリュストゥングのおっさんに気づきすぐに逃げようとしたが、時すでに遅しだったようだ。


「何の御用でしょうか?Sランク冒険者のリュストゥングさん?」


おお‥

アキーエの他人行儀っぷりが半端ない‥


「先日のオーガ襲来はすまなかったな。本来ならSランクである俺がオーガキングを相手をするべきだったのだが所用で不在にしてしまった。申し訳ない。」


確かにリュストゥングがいればもっと楽に討伐できたかもしれないし、被害ももっと少なかったかもしれない。

しかしSランクの冒険者ともなれば同じ地域にずっといるはずもない。

別の街からの指名依頼がある時もあるからな。

だから今回の件でリュストゥングを恨むのはお門違いだ。



まあ用事が用事だが‥



「亡くなったり負傷した人には申し訳ないですが、被害は少なく済んだと思います。リュストゥングさんが俺に謝る必要はないですよ。」


「そう言ってくれると助かる。あと遅くなったがこの街を、この国を守ってくれてありがとう。」


この人もこの国に思い入れがあるんだろうな。


しかし俺には聞いておくべき事がある‥


「ところで嫁探しは上手くいきましたか?」


「なっ!」


アキーエと俺を見ながらオロオロするリュストゥング。


「おお!そろそろ俺の試合が始まるようだ。それでは失礼するぞ。」



上手くいかなかったんだろうなぁ‥


後ろを見ると俺に向かって親指を立ててるアキーエがいた‥

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