第168話

ミミウは俺がいる場外とは反対の方向に飛ばされた。


ミミウが動かないのを確認して運営側の人がガルヘアに勝ち名乗りを上げようとする。

しかしさっきのガルヘアの件があったからだろう、ミミウに近寄り意識がない事を確認している。


そしてミミウに意識がない事を確認して、ガルヘアに勝ち名乗りをあげようとするが、すぐそこにガルヘアがきている事を訝しがる。


「君の勝利だ。だからこれ以上の攻撃は認められない。下がってくれないか。」


「いや、そいつはまだ動いてるぞ。それに俺がこれだけダメージを受けたのに、そいつはまだそんなに傷を受けていないようだ。だから不公平だろ?」


ガルヘアの言葉に運営側の人がもう一度ミミウを確認する。


自分から視線が外れた事を確認しすぐにガルヘアはミミウの側に立ち、踏みつける為に足を上げる。


「お前は強いな。だからここで死ね。」


そして足を振り下ろす!





『引・ミミウ』





ガルヘアが振り下ろした足下にはすでにミミウはいなくなっていた。


何が起こったかわからないガルヘアは自分の足下と周りと何度も見返している。



ミミウは今俺の腕の中で眠っている。 

そんな事はさせんよ。





俺はアキーエとミミウの安全の為に2つの魔道具を作った。


1つはペンダント式の魔道具でダメージを肩代わりしてくれるもの。


もう1つは危険が迫った時に、2人の意思に関係なく俺の元に引き寄せる魔道具だ。


できれば瞬間移動のような魔道具を作りたかった。

しかし身体を分解して、別の場所に再構築するなんて魔道具は作れなかった。

多分別の方法を考える必要があるのだろう。

空間と空間の距離を縮めるとか?


でも今回は緊急避難ができればよかったので、俺のところに引き寄せる魔道具を作製した。


2人に渡した魔道具は指輪式の物だが、俺が持っている魔道具に魔力を流し引き寄せる対象を選んだら、2人が持っている魔道具が反応して俺の元に引き寄せるといったものだ。


本当に緊急避難なので相手の意思関係なしで引き寄せる。


一度確認するためにアキーエを引き寄せたら、立ってるアキーエを地面に引きずり倒してこちらに高速で移動した。

引き摺りながらだったので、アキーエの服はぼろぼろになり転がってきた。

めちゃくちゃ怒られると思ったけど、緊急な物だし自分たちを思っての事だからってそこまで怒られなかった。

新しい洋服は買わされたけどね‥

まぁ買いに行った時アキーエが嬉しそうだったからよかったけど、何で嬉しそうだったんだろ?



少し改良したのでミミウは地面を引き摺られる事なく俺の元に戻ってきた。



「おい!お前どういうつもりだっ!まだ闘っている最中だろうが!そいつを元の場所に戻せ!お前もそいつも失格になってもいいのか!」


こちらにミミウがいる事に気づいたガルヘアが何か言っているが関係ない。

これで俺も失格になるのであれば別に構わないしな。

仲間を傷つけてまで参加を続ける必要など全くない。


「失格?全然構わない。それにお前はこれ以上ミミウを傷つけようとしているのか?それなら俺が相手してやる。」


俺は怒りの篭もった目をガルヘアに向けてそう言い放った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る