第424話

タコ焼き祭りは大盛況に終わった。


俺の腕が疲労死した以外には特に問題もなく、味も美味しかったようだ。


タコ焼きソースについては継続で開発しているが、俺が出したワサビ醤油と出汁をかけて食べる物もメニューに取り入れるらしい。


1つ気になったのが、モールを準備していた人たちも参加して試食していたのだが、端の方でタコ焼きに白い調味料をつけて食べている人がいた。

タールさんかと思っていたら、男性の人だった。


タルタルソースだろうな‥

自分専用タルタルソースを持ち運んでいるんだろうか‥


食は自由だし、俺はどんな味付けでも美味しければいいじゃないかと思ってはいるのだが、ロンギルでフーラさんがハンバーグにタルタルをかけていたのを思い出してしまった。


着実にタルタルが全土に進出してきてるな‥




それはそうと、あとはモールの完成を待つばかりだ。


俺の方は出来る事はやってしまったし、タコ焼きもソースが出来れば完成だ。


滞在期日中にはなんとか完成に漕ぎ着けそうだ。






着工から4週間が経った。


明日はいよいよホットモールが開店する日だ。


建物は出来上がっており、店舗も9割以上が埋まっている。


タコ焼きのソースも無事に仕上がった。


今回のタコ焼きソースを作るにあたり、ウスターソースも作った。


野菜のジュースやピューレに砂糖や酢、香辛料を入れて熟成した調味料だ。


タコ焼きソースを作る手順で出来たものだが、フライにかける事でフライが更に美味しくなった。


これって、フーラさんに最初にウスターソースを教えてやれば、タルタル教は出来なかったんじゃないだろうか‥


しかし今更考えたところで後の祭りである。


タルタル教については調味料として広がるのはしょうがないとして、変な教典が広まるのは阻止したい。


ちなみにタールさんのところには先週くらいに、タルタル教の御神体が届いた。


俺はポケットに小型木偶爆弾を潜ませて、確認にいった。


しかしタルタル教の御神体は俺に似てなかった。



正確に言うと、タルタル教の御神体は俺よりもイケメンで神々しかった‥


これを見て、俺だと思う人はいないと思う。

それぐらい素晴らしい出来だった。


俺は爆殺の名を得る事なく、ホッと胸を撫で下ろしたが、何故か釈然としないものが胸に残った。


何故か悲しくなった。


この御神体がフーラさんが俺を模して作ったのであれば、それを人に言われると穴に入りたくなるくらい恥ずかしい‥

そして悲しい‥




まあそれはいいとして、ソースである。


ウスターソースを使用して、今度はタコ焼きに合うソースを作る必要があった。


野菜や果物の繊維質の量でソースの濃度が変わるため、少し繊維質の量を増やしトロリとした濃度のソースを作成する。


それにトマトや砂糖や酢を更に合わせてタコ焼きに合うソースを作成した。


アキーエは濃度の高いウスターソースをつけてタコ焼きを食べて絶賛していたが、タコ焼き用のソースを使用したら、何も言わずに無言で食べ進めていた。


人間本当に美味しいと喋らなくなるよね。


甘じょっぱいソースにカリッとした外側からトロトロ中身とプリッとしたタコが出てくる。


ふむ。

これは確実に売れるな。


タコ焼きソースが出来上がった事で、またタコ焼き祭りが開催された。


しかし今度はホットモールでタコ焼きを作る予定の人たちが来ていたので、作り方を教えると同時に、いきなり大量生産をしてもらった。


200個を4人で手分けして実戦さながらの戦いをしてもらった。

多分モールが開店してからしばらくは戦争になると思うので、慣れてもらう必要もあったしな。


調理場に立つのは3人なので、交代で焼いてもらっていたが、みんな涙目だった。


ちなみに今川焼きも金型で作るが、1個2個作るのでは間に合わないので、一気に10個作れるようにしてある。

それを2人で作るのだが、そちらもやはり涙目だった。


大丈夫。

そのうち慣れるさ‥

人は涙の数だけ強くなれる。

強く慣れる?


俺なんて1人で終わることの無い特大タコ焼き作りに挑んでいるんだからな。

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