第425話
ホットモール開店の日。
いつ開店するのか、モールの入り口に張り紙はしていたが、特に宣伝はしていなかった。
だが開店当日はかなりの人が開店前から待っていてくれた。
開会式はキリーエが執り行う事になった。
キリーエから会長の挨拶と言われたけど、断った。
別に恥ずかしいからではない。
少し恥ずかしいのもあったけど‥
ホット商会が成功したのはキリーエの力があってこそだ。
俺は異世界の知識で得た情報をキリーエに伝えるだけで、キリーエはそれを形にして商売をして人脈を作って、ここまで大きな商会にした。
本当にキリーエの人脈にはびっくりする。
適材適所の人を連れてくるからな。
いくら俺の名前で商会を立ち上げたとはいえ、晴れの舞台はキリーエにやってもらいたい。
暗殺騒動はあったけど、ホット商会に喧嘩売ったら商会事潰されるってのは、ナイコビ商会の件があるから、余程の事がない限りキリーエをどうにかしようとは思わないだろ。
俺が晴れ舞台に立つのは冒険者としてだ。
だからホットモールの開店はキリーエにやってもらう。
俺たちは関係者とキリーエの護衛として側に立つ事にした。
式典には来賓を何名かで呼んであり、領主もその中の1人で、開店の挨拶で何やら長々と話をしていた。
ホット商会と手を取り合って、アースンを発展させていくやらなんちゃら。
多分ここが開店して落ち着いたら、人に任せて獣人国に戻るんだけどな。
領主がホット商会が今後はアースンに根付いた商会になっていくと思う!とか言ってる後ろでキリーエが苦笑いしてる‥
その挨拶している領主の後方に木材で建てられた高台があり、その頂点には黄金に輝くタコ焼き器が飾られている。
太陽の光に反射して神々しいばかりに光を放っている。
確かに飾ろうと言ったが、あんなところに飾らなくても‥
これって、領主が街のシンボルとか言いそうで怖‥
「この黄金に輝く金型こそ、アースンの街の象徴になるだろう!」
はい。
象徴になりました。
街のシンボル、タコ焼き器でいいんですかね?
まあそんな形で領主の挨拶が終わった。
最後にキリーエが前に立つ。
「今日はホットモールの開店式に集まってもらいありがとうございます。このモールには街の全ての品物が買える事を目指しています。もし必要な物がなければ、近くのモール商人に声かけてください。その声はちゃんと私の元に届くようにしています。そしてホット商会は皆様に食の幸せも届けます。ここでしか味わえないような物も多数用意しています。心ゆくまでモールを楽しんでください!」
うん。
やっぱりキリーエに挨拶してもらったよかった。
俺だったらタコ焼きの話を主に話してたと思うし‥
「それではホットモール、開店します!」
挨拶も終わりホットモールが開店した。
開店した日だから、物珍しさもあり多数の人でごった返している。
店舗がどこにあるか書いている看板は誰でも見えるように少し高めに設置しているが、その前にも人だかりが出来ている。
俺たちは挨拶も終わったので、各々モールを廻る事にした。
タコ焼きは開始からかなりの人だかりが出来ている。
「この中に入っているプリッとした食感はなんだ?」
「これタコらしいぞ。」
「あの海でたまに取れる気持ち悪いやつか?あれってこんなに美味いのか?タコ焼きって書いてあるけど、タコの頭に似てるからタコ焼きと思ったが、本当にタコが入ってるんだな!」
ふっふっふ。
どうだ、タコは美味しかろう。
「こっちの今川焼きってのにはイカが入ってるやつがあるけど、これも美味い!なんであんなに気持ち悪い生き物がこんなに美味いんだ?」
それは見た目と味は関係ないからです。
「おい!このチキン南蛮ってのも美味いぞっ!この上にかかってるタルタルソースってのが絶品だぞ!」
えっと‥
それも確かに美味しんですけど、タルタル教には入らないでくださいね‥
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