第378話

サントバルは俺が本当にダメージを受けているか確認している。


なら今のうちに回復できるとこまで回復させてもらうか‥


そう思ったが、そこまで甘くはなかったようだ。


すぐにサントバルが追撃してきた。


できればエンチャント:活水を解きたくはなかったが、このままでは攻撃を捌けそうにない。


俺は回復の時間を稼ぐためにエンチャントを全て発動させ、エンチャント:氷を発動させる。


『氷塊』


俺とサントバルの間に氷の塊を発現させる。


案の定サントバルは氷を破壊する。


氷の結晶がサントバルにまとわりつき、サントバルの体温を奪い動きを阻害しようとする。


しかし氷はサントバルの鎧に触れると霧散して消えた。


なんだと?

たとえ鎧だろうと

氷結するはずだ?


サントバルの姿がぶれているように見える。


なるほど‥


鎧が動いているのか‥


振動する鎧に邪魔されて氷が身体に張り付けずにいるのか。

元々液体だからできる芸当だな‥


まさかエンチャント:氷が通じないとは‥


俺は地面に手をつき、氷の波をつくる。


『氷波』


俺は氷を目眩しにしてサントバルから距離をとる。


すぐにエンチャントを活水に切り替えて回復を行う。


サントバルは氷を破壊して標的である俺を探す。


すぐに見つかりはしたが、時間を少し稼げたのでだいぶ動ける程度には回復した。


回復はしたが‥


今の手札のままだと、正直勝つのは難しそうだ‥


今のままの手札であれば。





俺はサントバルと距離がある間に『スペース』を使い中に保管していた物を取り出す。


サントバルが俺を目掛けて駆けてくるが、前を向きサントバルを視界に捉えたまま後ろに下がり距離を保つ。


その間に『スペース』から取り出した物を両手につける。




純粋に強くなりたかった。

仲間を守るために。


死んでも仲間を守る?


格好はいいが、出来れば俺は死なずにみんなを守れる力が欲しい。


俺はアレカンドロが仲間になった時に、更に強くそう思った。


仲間が増えるごとに想いが強くなるのは、絶対に失いたくないからだな。


今のスキルで強くなるために色々と思考した。


戦闘系スキルだけで強くなるには戦闘による経験とスキルのレベル上げしかない。


じゃあ生産系のスキルを使って強くなれないか?


スキル【スードウクリエイター】で木偶人形を作っている時にそう思った。


思った事は全て試してみるべきである。


羽根人形のように空を飛べたり、身体能力を上げるような物が作れないかと。


ナックルを作り、それに魔力回路を付けて殴れば爆発するようにしたり、グリーブに風の魔力回路をつけてスピードアップを図れないかなど。


結果はナックルは腕がもげるかと思うほどのダメージを受けたし、グリーブは勢いよくその場で後転して頭から落ちた。


頭が割れて実が出たかと思った。


鎧にするにも木や土では心許ない。


時空魔法も色々考えて、いい使い方を見つけはしたが直接的な強さにはつながらなかった。


そこで考えたのが、生産系スキルで戦闘系のスキルを強く出来ないかという事である。


今の俺がスキル【エレメントナイト】の能力をもっと高みに上げるために足りない物。


強大な魔力だ。


エンチャントの第一段階であれば全属性同時発動はできる。


しかし第二段階や更にその上の発動は行えていない。


それは魔力が足りないからだ。


その魔力が俺の魔力だけでは足りず、発動できたとしても1秒もない状態だ。


だが魔力を別から補給する事ができたらその問題も解決する。


俺は【スードウクリエイター】で着け外しができる小手を木製でつくる。


簡単な指示を行えるように人工核も取り付けた。


そこに魔力回路で膨大な量の魔力を貯めれるようにしたのだ。


もちろん直接魔力を注ぎ込む事もできるが、空気中の魔力を取り込む事もできるようにした。


これで置いておくだけで魔力が貯まっていく反則的な魔道具を作成する事ができた。


俺は人工核に指示をする。


「それじゃあ反撃だ。『魔力供給』」

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