第552話

「そうだったんだ。わかったわ‥甘過ぎたのが原因だったのね。それじゃあ仕方ないわね。」


アキーエが納得したようだ。


よかった、審査員席が爆発しなくて。


ちなみに1票はミミウさんでした。

アキーエが負けた事が不思議そうな顔をしている。


「ごめんねマルコイ。負けちゃった。」


アキーエが戻ってきた。


「いや、よく頑張ったんじゃないか。全然料理が出来なかった頃に比べたら見違えたよ。」


「そうでしょ!さっきの料理もスキャンさんが甘さを控えたらいいって言ってたから、マルコイには甘さ控え目で作ってあげるわね!」


!?


な、なんだと!


びっくりするほどのとばっちりだ!


ス、スキャンのやつめ!

絶対仕返ししてやるからな!


「そ、そうだね。楽しみにしてるよ‥」


「うん!」


キリーエに胃に効くポーションをもらっておこう‥







「それでは一回戦最終試合!セイルズ住民の拠り所。セイルズのタルタル教会にいる神秘の聖女ペイセルさん!」


残ってるのはペイセルと恵の対決か‥


「対するは幸せを求めて遥か異国にやって来た。食の伝道師恵さんだっ!」


この2人は真面目そうだからな‥

多分これって事実上の決勝戦じゃないかな‥?


ペイセルさんは元々料理を作る人だったのか、ずいぶんと手際がいい。

確か前回の宴会の時もフーラさんと料理してたしな。


ペイセルさんの料理はエビをご飯と炒めた、異世界のエビチャーハンみたいな感じだな。


ちょっと違うのは、餡かけじゃなくてタルタルかけだけどね‥


ただバランスがおかしい。

味変で少しタルタルがかかってるならわかるけど、あきらかにチャーハンよりもタルタルの方が量が多い気がするんだけど‥


タルタルソースの味変にチャーハン使うみたいになってますよ。


やっぱりタルタル教の司祭さんでしたね‥


それに対して恵は、ピザを作った。

ピザの具にエビとチーズがたっぷりと乗せてあり、とても美味しそうだ。


焼き上がったピザの上にタルタルソースがたっぷりとかけられた。


恵よ。

何故お前まで‥?


ほらペイセルさんとフーラさんが目を見開いているじゃないか‥


後日お前のところに、お手紙かペイセルさんが届くからな‥


「おっと!これは2人ともタルタルを使った料理ですね!タルタル教のペイセルさんはわかりますが、恵さんは何故タルタルをチョイスされたんですか?」


「えっと‥これは皆さんがタルタルソースを使った料理を作ってあるので、私も使った方がいいのかなと思いました。普段こういった料理は作らないので、上手にできたか心配です。」


なるほどね。

しかしタルタルソースでタルタル教に勝つのは難しいぞ。


多分‥

特に意味はないけど‥


「おっと結果が出ました!3対2でペイセルさんの勝利です!」


ほら!


「勝因としてはタルタルソースの付け合わせに炒めて味をつけたお米といった発想がよかったようですね!」


タルタルがメインかい!


「恵さんの料理は今日の宴会ですでにタルタルピザが出ていた事でしょうか。具材はエビになっていましたが、目新しさがなかったといったところでしたね!」


すでに誰か作ってたの!?


「残念でした。でもとても楽しかったので、次回ももっと腕を磨いて参加したいと思います。」


いや、恵さん。

これ余興だから!

第二回とかないですよ!


ペイセルさんが祈っている。

勝利できた事に感謝しているのだろう‥


できれば俺に向かって祈るのはやめてもらいたいんですけど‥




「さあ!これで四強が出揃いました!これから準決勝になります!果たして優勝して『マルコイさんに一つお願いができる券』とホット商会で使える商品券を獲得するのは誰になるんでしょうか!」


おい!

なんだその景品は?

当事者に何も聞かずに景品にするのはどうかと思いますよ!


ほら、ペイセルさんの目がとても怖い事になってるじゃないか!


ちょっと頑張らないとやばいかもしれない‥

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