第553話
「さあ、次の対戦は二回戦からの登場!ある時は、ホット商会の会長、ある時はAランク冒険者。その実態は狂った科学者!我らのマルコイさん!それに対するは筋肉こそ正義!フラれた筋肉は誰がため!メンセンさん!」
「ふ、ふられてないからな!決してフラれたわけじゃないからな!」
フラれてはないけど‥
まだ頑張るつもりなのね。
「さあマルコイさん!今回の意気込みを聞かせていただいてもよろしいですょうか?」
「いや意気込みなんて言われても‥適度に頑張ります。」
「おおっと!さすがマルコイさんです!適度な料理で勝てるだろうとの事!やはりホット商会の商品開発担当の狂った科学者は違います!」
ライリー‥
お前変身が解けた時の事まだ根に持ってるだろ‥
「それではメンセンさん、意気込みは?」
「そうだな。相手はマルコイさんだ。俺程度ではその実力の片鱗さえ見せて貰えないかもしれない。しかし!俺はこの筋肉がある!この筋肉にかけて、俺は勝利も、フーラさんもマルコイさんから奪い取る!」
この筋肉は何を言ってるんだ?
ついに頭の中まで筋肉が侵してしまったのであろうか?
それともみんなグルで俺を陥れようとでもしてるのか‥?
俺はそんなに料理が上手いって訳じゃないのに、なんだこのプレッシャーは?
「2人の意気込みは伝わりました!それでは両者とも調理を始めてくださいっ!」
メンセンが張り切って材料を取って回っている。
もちろん卵に酢、玉ねぎとかタルタルソースの材料も集めている。
よく見たら、材料的に先程のエビフライと変わらないような気がするけど‥
それよりもまた揚げ物かよ。
審査員の人胃がもたれないかな‥
あ、クワイスがキリーエにアキーエの料理用でもらったポーションを飲んでいる。
審査員の人たちも大変だな‥
メンセンは大きなボールにいっぱいのタルタルソースを作っている。
それにはエビの切り身も混ぜてあるようだ。
なんとなく料理の構想が見えてきた。
多分メンセンが作っているのは、クリームコロッケならぬ、エビタルタルクリームコロッケだな。
まるで人の頭のようなサイズの粘度が高いタルタルに衣をつけて揚げ出した。
また男らしい料理だな。
それじゃあ俺も作るとするか。
『スペース』から、鉄を取り出す。
【ディバイスメイキング】を使い鉄から取手のついた大きな鉄板を2枚作る。
その鉄板を火で炙り熱を持たせたら、その上に小麦の粉を水で溶かしたものを少量入れる。
その上にエビの切り身を数匹入れて、上からもう一枚の鉄板で挟んで焼きあげる。
今回作るのは、エビのそのまませんべいだ。
これもエビ料理って言っていいのかわからないけど、ここまで揚げ物とか胃にもたれるような物ばかり食べてたからな。
少し箸休めになるお菓子を作ってみた。
しばらく圧をかけると、エビの切り身がペシャンコになり、一枚のせんべいが出来上がった。
せんべいが出来たと同じくらいにメンセンの料理も終わったようだ。
「おっと!メンセンさんの料理が出来上がったようです!またもボリュームがありそうな料理ですね!」
メンセンが用意した皿には人の頭サイズの揚げ物が乗っている。
しかもその上から溢れんばかりのタルタルがかかっている。
「ああ!名付けて『愛よ届け!俺の心のタルタルボール』だ!上にかけてるタルタルはおかわりもあるから、たっぷりとかけて食べてくれ!」
審査員の人たちもだいぶ顔が引き攣ってるな‥
タルタル好きなんだろうけど、流石に胃がやられてないか?
審査員がメンセンの料理を切ると、中からタルタルとエビの切り身がとろりと出てきた。
見た目は美味しそうには見えるけど、タルタルなんだよ。
審査員の人たちも数口で箸が止まっている。
「くっ!目の前にタルタルがあるのに胃が拒否をするなんて‥」
まああれだけ食べればな‥
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