第554話

「な、なぜだ!俺の料理が美味しくないのか!?」


審査員の箸が止まった事に焦るメンセン。


クワイスだけが、箸が止まらず食べている。


キリーエのポーションが効いたかな?


あ、もちろんミミウさんは食べ終わりましたよ。


「美味しそうな料理ですが、少し量が多すぎたんでしょうか?恋と一緒で少ししつこかったようです!」


メンセンがモロにダメージを受けて地面に突っ伏した。

なんて事だ。

ライリーの言葉の切れ味が鋭すぎる。


「そんなライリーちゃんも可愛いぞー!」


うるさい正人。




「それではメンセンさんが帰らぬ人になったので、マルコイさんの料理にいきたいと思います。」


いや死んでないからね。

もし死んでたらライリーのせいだからね。


「俺の料理は『エビの姿焼きせんべい』だ。あっさり食べれるようなお菓子にしたから、割りながら食べてみてくれ。」


審査員たちが割ったせんべいを口に運ぶ。


「おおっ!これは美味しいですね。エビの味がそのままダイレクトに口の中に広がります。グレートロブスターを最大限に引き出された料理だ!」


「これは素晴らしい。単純な料理だが、この小さなお菓子にエビの全てが詰まっている!」


そりゃそうだ。

エビそのまんまだもん。


またポッサムさんがメモ取ってるみたいだけど、キリーエがその後方で商会の人に指示を出してる。


ポッサムさんが家に戻った次の日には商品化されてると思うぞ。


「さあ!素晴らしい高評価でしたね!さすが食狂のマルコイさんです!勝敗はいったいどうなるでしょうか?」


絶対ライリーわざとだよな。

魔道具つけても洋服が破けないようにしようと思ってたけど、その代わりに変な機能を付けといてやる。


「さあ審査員の判定はいかに!‥‥木札があがりました!判定は全員一致でマルコイさんの勝利なります!」


おっ?

満場一致か。

でも今回の勝利は揚げ物ばかり出てたから、料理を出す順番にも助けられたな。

最初からこのせんべいだと物足りなく感じると思うし。


それにタルタル大好きな審査員はキリーエのポーションを飲んで、残っていたメンセンの料理も食べている。


その食欲も凄いが、1番凄いのはキリーエのポーションじゃないだろうか‥


「さあ!次の試合はタルタル教のアイドル!みんなをタルタルの虜にしていく司祭服の下に隠れたその素顔!タルタル教司祭のペイセルさん!対するは平凡オブ平凡。誰か俺に個性を分けてくれ!平凡ザラケッツさんの勝負です!」


どうしたライリー‥


メンセンに続きラケッツまで殺そうとするとは‥


ほらラケッツが地面にのの字を書いてるぞ。



「さあ2人とも今回はどんな料理を作ってくれるのでしょうか!」


ペイセルさんが材料を取り始めた。


ラケッツはまだ少しいじけてるのか、動きが悪いな。


ペイセルさんは野菜を切り器に詰めている。

それにタルタルソースをかけている。


みんな本当によく考えるな。


ラケッツもエビの切り身と卵なんかを取って準備している。


しばらくすると2人とも料理が終わったようだ。


「さあ両者とも料理の準備が終わったようです。それではまずラケッツさんからお願いします!」


「今回のメニューはエビの卵とじです!肉を卵でとじた料理はありましたが、今回はそれをエビで再現してみました!」


なるほど。

でもそれだと、エビの天津飯とかにしたほうがよかったような気がするな‥


クワイスが手を挙げた。


「審査員のクワイスさん!どうぞ。」


「ラケッツ‥美味いぞ。しかし‥こう真新しさがないよな‥が、頑張ったのはわかるけど‥やはり‥平凡だ‥」


ラケッツはがっくりと膝から崩れ落ちた。


うん。

それでいいんだよラケッツは。

ラケッツは俺の魔道具でこそ光る男なんだ。


ペイセルさんの料理は異世界でいうグラタンのようなものだった。


容器の下にじゃがいもを敷いて、タルタルソース、麺を平たくしたものをのせてその上からタルタルソースとチーズをかけている。

これでもかって言うくらいのタルタル料理だな。


さてどちらの勝利になるのか?

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