第113話
自分の予選が終わったので、残りの試合を見るために観客席に移動する。
そこには俺たちの試合を見に来ているキリーエが待っていた。
「マルコイさんお疲れさん。やっぱマルコイさんは強いな〜。もし闘技会で賭けでもしてるならマルコイさんに全財産賭けるけどな〜。」
それは嬉しいけど、キリーエの全財産とか責任重すぎるからやめて欲しい‥
最後の試合は『獅子の立髪』のアムテルさんが出場する。
アムテルさんはスキルを模倣する時にスキル『槍士』の動きを見せてもらったことがある。
槍の動きがスムーズで円を描くような動きだった。
円を描くことで動きに切れ目がなく、隙らしい隙が見当たらなかったことが印象的だった。
試合が始まった。
今回も5人が出場している。
アムテルさんは問題なく他の出場者を倒していく。
他の出場者もBランクなのだが、ドラゴン討伐に呼ばれるくらいの実力者だ。
格が違う。
ついにアムテルさんともう1人の男の対戦となった。
順当にアムテルさんが勝ち上がるだろうと思いみていたが、予想に反してアムテルさんが苦戦している。
相手はナックルを使用している徒手空拳の冒険者のようだが、槍とのリーチの差があるのに善戦どころか押しているように見える。
アキーエのように遠距離でも攻撃できる手段があればリーチの差は問題ないが、単純に魔法でも使用しない限りは余程実力に差がなければ格闘で槍に勝つことは難しい。
ならばアムテルさんを押している冒険者がアムテルさんを凌駕する実力を持っているということか。
俺もスキルを使用しなければ短剣使いと槍使いの2人組は倒せなかった。
それにあれは少し意表を付く形だったから、もし対策を考えて動かれていたらまた違ったかもしれない。
会場ではアムテルさんが放った槍を男がナックルで弾き返す。
アムテルさんは弾かれた槍をすぐに戻し横に払う。
それを男はしゃがむように下に躱し突進する。
アムテルさんは槍を戻すと再度突きを放った。
しかし男はナックルで軌道を逸らすと、そのまま槍をナックルで押しながら間合いを詰める。
アムテルさんは持ち手の柄を男の額に向け叩きつける。
しかしそれすらも男は躱し、腹部に拳を放った。
アムテルさんはダメージが大きかったようで、その場に蹲った。
それを見て男は‥
さらに拳を連打した。
動けなくなったアムテルさんに拳と蹴りで攻撃している。
すぐに審判が止めるように言うが聞こえてないのか、聞こえないふりなのか構わず攻撃を続けている。
すぐに止めようと会場に降りようとしたが、会場の入り口付近から1人の女性が飛び出してきた。
アマンダさんだ。
アマンダさんは男に突進して拳を放った。
かなりの勢いがあったその拳を男は手のひらで止めている。
その後に会場の警備の人たちが場内に入ってきて2人を引き離した。
アマンダさんが大きな声で何かを言っているが、男は無視して会場から出て行った。
とても気持ちの良さそうな顔をして‥
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます