第114話
会場は騒然としていたが、収集がつかないと思ったのか、それには構わず審判は勝者のアナウンスを行っていた。
あれはヤバいな。
何であんなのが予選から出てるんだ?
もしあんなのにアキーエたちが対戦していたかと思うと背筋が凍るようだ。
本戦でアキーエたちが対戦しない事を祈ろう。
もし対戦するようであれば大会など関係なしに乱入するつもりでいないと。
大会側が何と言ってこようと関係ない。
アキーエたちを失う事と比べるなら、その後に冒険者として活動できなくなったとしても些細な事だ。
そのあと本戦への出場者の発表があり、闘技会予選は終了した。
最後にアクシデントがあったが、本戦は1ヶ月後に開催予定だそうだ。
観客席から宿に戻ろうとすると、ちょうどカリーンさんと会った。
「マルコイ少し時間いいか?」
「いいですよ。」
するとカリーンさんは笑みを浮かべてこちらに向かってきた。
「今日はありがとう。全力で戦って気持ちよく負けた。感謝する。」
カリーンさんが握手を求めてきたので、快く握手を交わす。
「ところで最後更に強くなったのには何か秘密があるのかい?」
「そうですね。今は答える事はできないけど、本戦では出し惜しみできないと思うので、そのうちわかりますよ。」
「なるほどね。それじゃ私は今からアムテルのところに行ってくるよ。」
するとカリーンは真剣な表情をして話を始める。
「アムテルは結構酷い怪我みたいで、回復魔法で命は取り留めたけど、安静の為に別のところに運ばれてる。アマンダから聞いたんだが、アムテルを倒したやつは笑いながら本戦に出るやつも同じようにしてやるって。だからアマンダにも本戦で当たったら同じ目にあわしてやるから待ってろって言って出て行ったらしい。」
なんだそれ。
頭がイカれてるとしか思えないんだけど。
魔道具で身代わりはできるけど、何回も攻撃されるのなら意味がない。
できればSランクとかに当たってボコボコにしてもらいたいもんだが、最悪の場合を考えて動いておかないとな。
カリーンは手を振りマルコイ達の前から去って行った。
「それじゃ皆んな帰るか。」
予選を勝ち残り本戦出場を決めたが、先程の件を考えると少し憂鬱になってしまった。
とりあえず1か月はあるからな。
対策やら訓練やら魔道具作製やら色々とやってみるとするかな。
今日から取り掛かってもいいけど‥
「それじゃ今日は3人して本戦出場が決定したから祝勝会をしましょ〜!」
「やったですぅ。もうお腹が空いて倒れそうでした。」
「そうね。今日はおめでたいから、わたしも賛成よ。」
まあそうなっちゃいますよね。
キリーエの発案にてホット商会のレストランに行く事になった。
しかしミミウは今日出場しなかったし、観戦してた時もずっと何か食べてた気がするんだけど‥
いかんいかん。
ミミウの食欲の事は深く考えない事にしていたんだった。
そしてキリーエの案内で来たお店は、ミミウの看板がデカデカと飾ってある『ミミウちゃんのホットケーキ屋さん』だった。
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