第141話
マガーレットは無防備にわたしに近づいてくる。
そしてわたしの側まで来ると、他の人に声が聞こえない程度の声で囁いてくる。
「そうなの。ただの幼馴染なのね‥彼なかなか男前よね?もしよかったら私にくれないかしら?」
何なのこの女。
「勝手にすればいいわ。彼はわたしの物じゃないし、彼には彼の意思があるから。でも少なくともこんな場所でそんな事言う女をアイツは選ばないけどね。」
アイツは普段ふざけてるけど、性根はまっすぐだからこんな場所でふざけた提案するやつなんて選ぶ訳ない。
「言いたい事はそれだけ?それじゃ始めてもいいかしら?」
「そうね。もう少し動揺するかと思ったけど、残念だわ。信頼しているのね。」
それだけ言うとマガーレットはアキーエに背を向けて元の位置に戻った。
後ろから一発殴ってやればよかったかしら?
そんな事を思いつつアキーエは構えをとる。
「でもさっきの話は本気よ。この試合に私が勝ったら声をかけさせてもらうわ。」
「だから好きにすればいいじゃない!」
「強気なのね。でもあなたは私に勝てないのよ。だからわざわざ聞くまでもなかったわ。格闘士のあなたでは私に近寄る事もできないから。」
マガーレットは持っている剣の柄頭辺りを扱っている。
「私のスキルは鞭士なの。でも剣を持っているのって不思議でしょ?でもこの剣を持っている私って最強なのよ。」
マガーレットが持っている剣をその場で振るうと何と剣が伸びた!
「なっ!」
「びっくりした?これってアーティファクトなのよ。剣の間隔が広がるんだけど、魔力で繋がるの。でもこんな剣使える人はいないんだって。私みたいな鞭士のスキルを持つものしかね。」
そんな武器があるなんて‥
しかも鞭士ね。
厄介な相手だわ‥
「遠距離からの攻撃ができない格闘士のあなたにとっては私は天敵みたいなものよ。宣言通り悪いけどあなたは私に近寄る事もできずに負ける事になるのよっ!」
何て武器だ。
そんな武器があるなんて初めて知ったぞ。
でもマガーレットが言っている事にはひとつ間違いがある。
誰が遠距離攻撃がないって?
「弾けよ!灼熱の炎矛!」
「へ?」
変な顔をしているマガーレットに魔法が襲いかかる。
「うぎゃーーーっ!」
おお〜!
上手く転がって避けたな。
すごいすごい。
あっ、でも髪の毛が王都で昔流行ったアフロになってる‥
「な、な、なんなのよアンタ!そんな格好して魔法使いなんて卑怯よっ!」
「卑怯も何もわたしが遠距離だと何もできないって勝手にあなたが思い込んでただけでしょ。ちゃんと外してやったんだから感謝しなさいよね。」
「外れてないわよ!少し焦げたじゃないの!」
確かに所々こんがりしてるな。
「少しでよかったじゃない。そのまま焦がしてやろうかなって思ったけど、あなたにはゲンコツをお見舞いしたくって。なんでかあなたの顔を見てるとムカムカしてくるのよ。今ので少しスッキリしたけど、まだ足りないわ。覚悟してね。」
アキーエ何か怒ってるっぽいな。
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