第88話
『米処アキーエ』はここ首都では取り扱っていない米と呼ばれる食材を使用しているお店である。
ここ最近にできた店だが、米が珍しいのと美味しい事もあって長蛇の列らしい。
そりゃそうだ。
米はセイウットからロッタスに来る途中にあった村で見つけた食材である。
それまでは家畜の餌として使用されていたが、俺のスキル【異世界の知識】によって食べれる物だと判明しキリーエが専属契約を結んでいた。
それがすでに店で出せるほど商品化していたとは‥
「あっ!マルコイさん!来てくれたんか?よかった本当は店を出す前にマルコイさんに試食してもらいたかったんやけど、忙しそうやったからアキーエちゃんとミミウちゃんにお願いしたんよ。」
そしてまたしても新事実‥
知らなかったのは俺だけらしい‥
「ほらいじけないの。マルコイが忙しそうにしてたから気を遣ってくれたんだから。」
むぅ。アキーエにはお見通しだった。
「それじゃこちらにどうぞ。」
お店に入るために長蛇の列になっている人たちの横を通る。
好奇の目で見られているような感じがして気が引けるな。
通してもらったのは個室になってる部屋だった。
「ここは知人やお得意さんとかに何かに使ってもらう予定の部屋なんよ。でも最初はマルコイさんたちに使ってもらう予定やったから、使用するのは今日が初めてなんや。」
それは素直に嬉しいと思ってしまった。
しかしそれはそれ。
「キリーエ。お店の名前をアキーエにしたのはなんでだ?」
するとキリーエはこちらをキラキラした目で見てくる。
「うちは首都で商いをする上で、仲間がいたから成功する事ができた。それを絶対に忘れないでいるために仲間の名前をつけたんや。だからミミウちゃんやアキーエちゃんのおかげでここまで来る事ができたっていう証明にしたかったんや。」
「で、その本音は?」
「やっぱり女の子が看板背負ってるって思ったら人気が出るやん。アキーエちゃんもミミウちゃんも可愛いから看板見たお客さんも来るからがっぽがっぽや。」
キリーエはやっぱりキリーエでした‥
「ここはほとんどお米を使用した料理をだしとるけど、今までがなかった食材やから試行錯誤なんよ。何か意見があったらどんどん言ってな。」
奥から料理が運ばれてくる。
コース料理のようで、食べ終わったら次が出てくるシステムのようだ。
具材のたくさん入ったおにぎりや米を薄く伸ばして間にお肉を挟んだ物。
お米とお肉を混ぜて焼いた物やすり潰したお米を調味料をつけて焼いた物など様々な料理が出てきた。
お米の料理だけあってなかなかのボリュームで俺はすぐにお腹いっぱいになった。
「マルコイさんどうやった?」
「全部美味しかったよ。凄いな。まだ米を使うようになってそれ程時間も経っていないのに、ここまで色んな料理をするなんて。」
「逆に今までなかったからいろんな物にアレンジしてみようと思ったんよ。マルコイさんの知識で他にも何かある?」
そうだな。
かなりの料理を作っていて異世界にあるきりたんぽやライスバーガーなんてのも独自に作り上げていたから頭が下がる。
「他はせんべいとかはどうだ?」
キリーエは俺の言葉を聞いた瞬間に俺の横に座っていた。
え、何?瞬間移動か何かですか?
「せんべいって何?どんな料理なん?」
「今のお米でできるかわかんないけど、米を精米の時点ですり潰した後に蒸して搗き上げてから‥」
料理を食べた後もしばらくその店から出る事ができなかった‥
その間ミミウはずっと料理を食べてたけどね。
どうやったらあの量があの体に入るのが1番の謎だ‥
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