第246話

ノギスは入念にストレッチしている。

ノギスにとっては負けられない闘いだな。

相手が女性って事もあるが、ナーシスにカッコいいとこ見せるチャンスだしな。


「モラさんだっけか。悪いな誰が相手だろうと俺は全力を出させてもらうぜ。」


「いいのよ。公平な勝負なんだから誰が相手でも全力を出すのは正しい事だわ。私も全力を出すから宜しくね。」


モラさんがキラキラした笑顔でノギスに答える。


おお、モラさんのキラキラにノギスが戸惑ってるぞ。


やはりモラさんの可愛いは正義は健在だな。


ノギスはテーブルの前に陣取り準備万端のようだ。


モラさんもテーブルの前に位置どる。

そしてモラさんは腕を動かしやすくするために袖をまくる。


おお!

見た目に反して腕が随分とマッチョだな。

さすがAランク冒険者だな。


ノギスはモラさんの顔と腕を見比べながら何か言いたそうな顔をしている。


ノギス‥

わかるぞ、その気持ち。

しかし俺はあえて何も言わぬ‥

面白いから‥


「それでは両者構えて。力抜いてな。それでは‥‥‥始めっ!」


両者同時に力を持って込める。

若干ノギスが有利か?

するとモラさんの腕の筋肉が更に盛り上がる。

か、顔が可愛いけど真剣だ!


徐々にノギスが押し返されていく‥


ノギスの顔がヤバい事になってる。

血管切れないか?

あっ、ノギスから赤い光が立ち上りだした。

あいつスキル使ってやがる‥

でも感情の昂りがないと意味がないスキルじゃなかったかな?

まあ昂ってるといえば昂ってるんだろうけど‥


あ、負けた。


「勝者、モラ!」


最終的にはモラさんが勝った。

膂力が違うな。


あれだけ意気揚々としてたのにノギスは捨てられた子犬みたいになってる。


仕方ない負けたなら教えてやるか。


「ノギス。」


「あ、兄貴‥‥‥また‥女の人に負けちまいました‥」


「ノギス。モラさんはな‥男だから大丈夫だ。」


「へっ?」


ノギス‥顔から目ん玉落ちそうだぞ。


モラさんがこっちに歩いてくる。


「ノギスさんありがとうございました。」


「モ、モラさんって男性なんすか?」


「あ、マルコイさんに聞いたの?そうよ。私実は男なの。えへっ。」


仕草が可愛らしい‥


「そうなんすか!よかったぁ‥よかった?」


うんうん。

どんまいノギス。


その後も腕相撲大会は続いた。




バラックスさんのパーティメンバーのヤックルさん対ノギスのパーティメンバーで格闘士のラエラさんの試合は盾士のヤックルさんが勝った。


アリアとナーシスのお友達対決はナーシスの勝ちだった。

なんか見ててほっこりとなった。


アマンダさん対カリーンさんの『獅子の立髪』同士の闘いは剛腕持ちのカリーンさんの勝利。


やはり腕力持ちと盾士は強いな。


そして我らがミミウとアムテルさんの試合は‥

ミミウがニコニコしたまま勝った。

やっぱりミミウが最強なんじゃね?



そして‥

今俺の目の前で因縁の対決であるアキーエ対マガーレットさんの勝負が始まろうとしている‥


キリーエ公平とかいいながら、面白くなるように操作してないか‥?

まあ面白いからいいけど。




「ふっふっふ。ついにこの時がきたなぁ。ようやくお前に今までの借りを返す事ができそうだ。こんがり焼かれた恨み思い知るがいい。」


「はいはい。ところで貴方腕相撲は強いの?」


「そりゃもちろん‥‥えっと‥」


「それじゃ2人とも準備はいい?‥‥‥始めっ!」


アキーエは魔闘士として格闘を中心に訓練をしている。

毎日反射神経や瞬発力をあげる努力をしている。

俺も無手で組手をするとほとんど負けている。

模倣で格闘士を覚えるまで遠距離で魔法しか使ってなかったアキーエにだ。


対するマガーレットさんは鞭士じゃなかったかな?


何が言いたいかと言うと‥


開始と同時にマガーレットさん一瞬で負けてた。


あの人何しに来たんだろう‥

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る