第110話

ノギスをしばき倒してスッキリしたところで他の対戦相手を見る。

ちなみにノギスは邪魔だったので足を持って振り回した後に場外にそのままの勢いで投げ飛ばした。

異世界のジャイアントスイングって技だ。

決してもう少しスッキリしたかったからではない。

このまま場内にいたら邪魔になると思っただけだ。

決してさらにスッキリしたかった訳ではない‥


見渡してみると、何故か他の3人は呆けた顔でこちらを見ていた。

何故か3人して動きが止まっている。


「マルコイ君‥君ずいぶんと強いね?」


まずった。


あまりにノギスに集中していて周りを見ていなかった。

他の3人が戦いをやめて見ていることに気づかなかった。

カリーンさん以外の2人は顔を見合わせて頷くと、俺を囲むように動き出した。


「それだけ強いとこみせたんだ、こうなるのは仕方ないね。私は参加しないけど、その2人に勝ったら私もお相手願おうかな。」


そう言ってカリーンさんは少し離れた場所に移動する。

2人は一瞬カリーンさんを見るがすぐにこちらに目を向ける。


2人組は短剣を2本持った男が前に立ち、後ろに槍を持っている男が構えている。


ショートソードの男が体勢を低くしてそのまま前に進んでくる。

足を斬りつけるように短剣を振るったので、バックステップで下がる。

すると下がった場所に槍が迫ってくる。

なんとか上体を逸らし槍を躱す。

躱した槍を下から剣で弾く。

槍が上に逸れたと同時に槍使いに向かい間合いを詰める。

しかし横から短剣使いが短剣で突きを放ってくる。

それを辛くも剣で弾くと槍使いは戻した槍で高速の3連突きを放ってくる。

避けきれないと判断し、エンチャント:土を発現しダメージの軽減を図る。


その場を離れ、自分のダメージを確認する。

エンチャント:土の効果でほとんどダメージを受けずにすんだようだ。

しかしさすがにBランクの冒険者だな。

ノギスとは技術が違いすぎる。


思ったよりダメージを与えることができなかった事を訝しげに思ったのか、2人は間合いを取ったまま様子を伺っている。


とっておきを使えば勝てるが、短期決戦用の切り札だからカリーンさんが残っているので使う訳にはいかない。


仕方ない。

スキル【エレメントナイト】だけで勝てると思っていること自体傲慢だな。

スキル【模倣】のお陰でここまで強くなれたんだ。模倣したスキル全てが俺の力だ。


悪いが俺だけ予選落ちってわけにはいかないからな。

模倣スキル【堅牢】【身体能力上昇】

あとはレベル1だが、【属性魔法:聖】の補助魔法で能力値を上げる。

自分なりに強くなれたと思っている。

これでスキルの数に不審がられてバレたとしても、不条理な事に立ち向かえる程度の力は持てた筈だ。


さてワンランク強さを上げさせてもらった。

まだ様子を見ている2人に向かって疾走する。

さっきまでとは一味違うから覚悟してくれよ。


短剣使いが槍使いの前に位置取る。

【身体能力上昇】と補助魔法の力で一段階スピードを上げる。

短剣使いのお株を奪う程の低い体勢で進む。

急に体勢を低くしたので、2人は俺を見失っている。

そのまま上体を起こした勢いで剣を斬りあげる。

短剣使いは気づき、2本の短剣で防ごうとするが勢いがついた剣を短剣で防ぐ事はできずにそのまま短剣を飛ばし上半身を斬りつける。


そして傷が深く、動けなくなった短剣使いはその場に蹲った。

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