第437話

またまたやってきました『アウローラ』の拠点。


今日は朗報を持ってきましたよっと。


「たのもー!」


俺が入り口で大きな声を上げると、中から若い男性が出てきた。


「何だお前?ここは傭兵団『アウローラ』の拠点だ。依頼でも持ってきたのか?」


うん?

初めてみる人だな。

俺の事を知らない人みたいだ。


「知ってて来たんだ。悪いけど、クワイスかメンセンを呼んでくれないか?」


「何だお前?うちの団長と副団長を呼び捨てにするなんて?何か要件があるなら俺が聞くから言ってみろ。」


ふむ。

自分と同じくらいの俺が自分の所属する傭兵団の団長を呼び捨てにしたのが気に入らなかったみたいだ。


あと関係ないけどメンセンって副団長になったんだな‥


「悪いけど、メンセンから依頼があって、それが完成したから持ってきただけだ。もしいないようだったら日を改めるよ。」


「ちっ。ちょっと待ってろ。確認してくるから。」


そう言って男は拠点に戻っていく。


「あっ!メンセン副団長!すいません、今入り口にメンセン副団長に頼まれた品物を持ってきたって言ってるやつがいるんですが、心当たりありますか?持ってきたって言ってますけど手ぶらですし、もし心当たりがないようなら俺が追っ払いますよ!」


「ん?どんなやつだった?」


「えっと‥銀髪の眠たそうな目をしてる若造でした。」


「あっ!?お前それマルコイさんじゃねえか!」


「えっ!マルコイさんってあの羽根人形や、使うな危険の爆弾を作ったっていう狂った爆殺造形師さんっすか?まじっすか!?やばいっす!俺めちゃくちゃ失礼な態度とっちまったんですけど‥爆殺されたりしませんよね?」


「馬鹿お前!来客には丁寧に対応しろって『アウローラ』に所属した時に口を酸っぱくして伝えただろうが!大丈夫だ、マルコイさんは話は通じる男だ。俺が一緒に謝ってやるから。ほら行くぞ。」


ほうほう。

なるほどなるほど。


君たち『アウローラ』は俺の事をそういう目で見てたんですね。


わかりました。

もう少し厳しめの実験を取り入れたいと思います。


「おうマルコイさん!わざわざ来てくれてすまないな。あとこいつが失礼な態度とって申し訳なかった。」


「すいませんでした!」


いつもと同じような態度のメンセンだが、こめかみに汗が流れてるぞ。


「いや別に気にしてないからいいよ。それよりもメンセン用の魔道具を用意してきたから、暇だったら今から試してみないか?」


「お!まじか?ありがとうマルコイさん!いや〜楽しみにしてたんだわ。でも物凄く短い時間で出来たな。俺はさすがにマルコイさんでも数ヶ月はかかると思ってたぜ。」


「時間があったからな。2日くらい寝ずに頑張ったら何とかなったぞ。作ってると楽しくてな。ついつい寝食を忘れてしまうくらい没頭してしまうんだ。それでよくアキーエに怒られる。」


「あ〜、アキーエ嬢ちゃん怖いもんな‥」


ついこの間フーラさんに振られたのをバラされてたもんな。


「それよりも時間は大丈夫なのか?俺としては使ってるところを早く見たいんだが。」


「おう、俺は今日は拠点でお留守番だから別に大丈夫だぜ。なんなら今から行くとするか?」


「助かる。それと彼の名前を教えてもらっていいかい?」


俺は先程対応してくれた男性の名前を尋ねる。


「マルコイさん‥あいつは悪気はなかったんだ‥うちに入ったばっかりでマルコイさんの事を知らなかったんだ‥」


「いやいや、別に何かしようってわけじゃないよ。『アウローラ』にはよく来てるけど、団員の人ほとんど知らないからな。せっかくだから名前を聞いておこうって思っただけだよ。」


「そ、そうか。なら別にいいけど‥あいつの名前はラケッツだ。『アウローラ』には最近入ったばかりだからよろしく頼むよ。」


「は、はい‥ラケッツと言います。よろしくお願いします。」


別にほんとに何かしようと思ったわけじゃないんだけど‥


ただせっかく知り合いに慣れたんだから、彼にも魔道具の実験に付き合ってもらおうと思っただけだよ。

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