第774話
「ようやく諦めたようだなテロリスト!お前を捕縛して牢獄に収容させてもらう。もし抵抗するようであればこの場で処刑させてもらうぞ!」
う〜ん‥
なんでテロリストなのかしら‥?
特に王様との関係を疑われているわけじゃないみたいだけど‥
「一体わたしの何をテロリストって疑ってるわけ?確かに衛兵の1人とちょっとしたイザコザは起こしたけど、それだけでテロリストなんて‥」
「貴様ぁ!しらを切るのもいい加減にしろっ!貴様は衛兵長であるモルペウス様を再起不能にして、我らの火薬筒を狙って魔法を使った。被害にあった衛兵が咄嗟の機転をきかせて火薬筒を投げたから人的被害は少なかったが、明らかな殺意があった!それにあの周辺の陥没だ!どんな手段を使ったかわからないが、入念に準備していたのだろう!」
「そ、そんなあれは偶々よ!あんな爆発するもの投げてくるってわかってたら魔法なんて使わなかったわよまったく‥それに最後の地面の陥没はわたしじゃないわよっ!」
「なにぃ!やはり仲間がいたのかっ!ヨエク様が王になったタイミングを見計らって王都転覆を狙うとは‥貴様さては各国で王政廃止をうたって活動している革命軍『シンカー』の者だな!残念だが、ここプリカは我らが護っている!貴様らのような奴等に好きにはさせんぞ!」
何を言ってるのこの人‥
王様との関係を疑われなかったのはよかったけど、革命軍?シンカー?何のことか一切わからないわ‥
「観念するがいい!洗いざらい吐いてもらうぞ!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!そんな集団とは関係ないわっ!それにわたしは冒険者ギルドから依頼を受けてこの街に来てるのよ!そのわたしがそんな事を考えるわけないでしょ!」
「なるほど‥冒険者ギルドを隠れ蓑にして活動していたわけか‥ならばこの街のギルドも怪しくなるな‥」
何故か勝手に冒険者ギルドにまで疑いをかけられている。
このままだと王様を守ってくれた冒険者ギルドにまで迷惑をかけそうね‥
「もういいわ。話をしてても埒が明かないわ。帰らせてもらうわね。」
袋小路といっても魔法で穴も空けれるし、壁をよじ登ってもいいから逃げることにしよう。
これ以上相手するのも時間の無駄だし、話も聞かないから状況的に悪くなるようにしか思えない。
「逃すはずがないだろう!」
衛兵が一斉に銃を取り出した。
10を超える銃がわたしを狙っている‥
う〜ん、あまり良くない状況ね。
高威力のウォール系の魔法を使えば、わたしに着弾する事なく弾は燃えるだろう。
だが流石に街中でそんな事をすれば、本気でテロリスト扱いされてしまう。
すでにされているかもしれないけど‥
「観念しろ撲殺魔!」
撲殺魔‥
「ちょっ!撲殺魔って何よ!」
あんまりじゃない‥?
それだったらまだ爆殺女神の方がマシ‥‥いやどっちもどっちだわ‥
「お前らのような馬鹿げた思想の持主は根絶やしにせねばならん!大人しく仲間のことを言うがいい。人数、隠れ家などな!大人しく答えれば楽に殺してやる。」
「だからテロリストなんかじゃないって言ってるのに‥」
これだけの数の銃口を向けられたら、さすがに全て躱すのは難しいかも‥
身体に気を覆わせておけば、ダメージもそこまで受けないと思う。
さてそれじゃあ、また追いかけっこでも‥
「ヨエク様の作る新しい国の邪魔などさせん。国民全てが平等に幸せになるようにするなど、ふざけた事を言っていた前王と違い、ヨエク様は管理する側である俺達のための国を作ってくれる。その国に貴様らのようなゴミクズはいらんのだ!」
こいつらの方がよっぽど歪んだ思想よね。
ちょっとこの人たちをこのままにしといてはいけない気がしてきたわ‥
「お前の仲間もどうせまともに生きられぬ負け犬なのだろうが!お前やお前の仲間のような、ゴミクズどもは一掃してやる!」
うん。
やっぱり逃げない方がいいみたいね‥
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