第773話
「お、俺の腕がぁ!い、一体何をした!?き、貴様は部屋の隅で震えているんじゃ‥ま、まさか貴様も銃を持っているのか!暴発しない銃は上級兵にしかお渡しされていないはず!貴様何者だ!」
「この銃はこの国のもんやないで。別に銃はヨエクの専売特許やないっちゅうことや。」
「な、なんだと!ヨエク様の知識がなければ銃は作れるはずがない!どうせ盗んだか、作ったとしても今回はたまたま暴発しなかったような粗末な物に決まっている!」
「なんやて?」
キリーエは男の側まで歩み寄る。
側に落ちていた男の持っていた銃の残骸を蹴り飛ばす。
「これのどこが粗末やねん!こんな美しい銃は他にあらへんで!」
キリーエは隠密を解き男に銃を見せる。
「なっ!なんだそれは!そんな小さな銃でヨエク様の銃を破壊したというのか!」
「はっ!そっちの銃と格が違うのがわかったんと違うか?」
「く、くそっ!そ、それを寄越せっ!」
男は腕が折れているのも構わず、キリーエに向かって突進する。
キリーエは男の突進を躱すと、スキルを使い姿を消す。
「くそっ!どこだ!どこに行った!この臆病者が!お前もお前の仲間も腰抜けだっ!」
キリーエはプロミネンスの魔力回路『吸音』に流れる魔力を止める。
プロミネンスを男の耳元に近づけて銃口を天井に向ける。
大気を劈くような轟音と共にギルドの天井の一部が砕け散る。
「うちのパーティを馬鹿にするんは許さへんで。まあもう聞こえてへんやろうけどな。」
プロミネンスの発射音を耳元で聞いた男は耳から血を流し、泡を吹いてその場に倒れ込んだ。
「ギルドマスターさん堪忍な。天井壊してしもたわ。」
「あ、ああ。だ、大丈夫だ。」
キリーエが倒した男は衛兵の中でもかなりの実力者だった。
少なくともヨエクから直接銃をもらっているのだ。
それだけでも男が衛兵の中でも高い位にあるのがわかる。
実力でもギルドマスターである自分に近い実力を持っていたし、銃を使われると負けてしまう可能性もあった。
その男をこの獣人国から来た女性は何もさせずに倒した。
それこそ圧倒的な力で。
全く見ることのできない姿、その見えない状態から放たれる防ぎようのない暴力的な力。
「すごいな‥まるで不可視の鉄槌だ‥誰も防ぎようがない‥」
持っている銃に頬擦りして熱さに悶絶しているキリーエを見ながら、ギルドマスターはそう呟いた‥
(おかしいわ!わたし何もしてないわよ!)
アキーエは衛兵から逃れるため、街中を駆け回りながら考えていた。
1人絡んできた人をあまり被害がないように倒した。
魔法も使ったが、1番威力の低い『火球』だった。
まあ何かにぶつかって爆発してたけど、それはわたしのせいじゃない。
おかしい‥
アキーエは後ろをチラリと振り返る。
10人以上の衛兵が追いかけてきている。
絶対におかしい‥
何故こんな大人数で追いかけてくるのだろう‥?
とりあえず逃げてみたが、街の地理に明るくないアキーエは袋小路に追い詰められた。
「はぁはぁはぁ‥や、や、やっと追い詰めた‥ぞ‥」
追いついてきた男が息も絶え絶えにそう言ってきた。
(何かもう少しで死にそうな感じね‥もうちょっと頑張って逃げればよかったかしら‥?)
「い、一体なんなの?わたしが何かしたんですか?」
「はぁはぁ‥ひゅーひゅー‥ちょ、ちょっと‥待て‥に、逃げるな‥よ‥」
追いかけてきた人たちは今にも死にそうな表情で肩で息をしている。
(また逃げようかしら‥?でも何で大人数で追いかけてきてるのか、理由くらいは知りたいわよね‥)
しばらくそのまま待つ。
なかなか衛兵の息が整わないので、ポーションでも渡そうかと思ったくらい待った‥
「ふぅふぅ‥はぁ死ぬかと思った。」
ようやく息が整ったのか、声をかけてきていた男がこちらを指差す。
「追い詰めたぞテロリスト!」
テロリスト‥?
まあ合ってると言えば合ってるけど‥
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