第775話

「よくわかったわ。テロリストでも何とでもいえばいい。‥‥‥や、やっぱりテロリストは少し嫌ね‥と、とにかく、あなたたちみたいな人たちをそのままにしとくわけにはいかないと思うわ。理想はどうあってもいいと思うんだけど、それが人にとって迷惑であればそれを阻止しようとする人は現れると思うの。それをテロリストというのであれば、それは甘んじて受け入れ‥‥‥何か納得がいかないわね‥とにかく!わたしはわたしの正義を貫く事にするわ!」


わたしは全身に気を巡らせる。


「ふん!大人しくする気はないというわけか!ならば蜂の巣になるがいい!」


衛兵たちは一斉に撃鉄を引く。


わたしに向かって鉄の弾が迫ってくる。



わたしはマルコイに銃の話を聞いて考えていた。

銃弾は1発であれば躱す事は容易で、特に問題はない。


しかし一斉に撃たれたり、遠距離から撃たれた時は防ぎようがない。


そうマルコイは言った。


でも遠距離に関してはまだ解決していないんだけど、一斉に撃たれた場合であれば躱す方法はなんとなくだけど見つかった。


身体に巡らせていた気をより一層強くする。


初弾が身体の表面を覆っている気に触れる。


このまま直撃したら、重症ではないとしても多少のダメージを受けてしまう。


それが多数であれば動けなくなる程のダメージになってしまうかもしれない。


ならどうするか‥?


答えは簡単。

全弾躱せば問題ない、だ。


初弾が気に触れた瞬間に、わたしは身体を回転させる。


銃弾はわたしを覆う気に当たるが、身体を回転させる事で身体の表面に沿ってそのままの後方に逸れていく。


身体を10回転させた頃には、衛兵は2連銃の弾を撃ち尽くしていた。


「そ、そんな馬鹿な!無傷だとっ!そんな避け方が出来るはずかはない!いくら身体を回転させようとも、弾は身体を突き破るはずだ!ば、化け物か貴様!」


「ま、また化け物よばわり‥」


銃弾は全て避ける事ができたけど、ダメージを受けてしまった‥


「くっ、くそっ!銃が無事なやつは次弾を装填しろ!」


そういえば数人は弾が出なかったり、暴発して手を怪我してるみたいね。


問題なく弾が出た人たちも、銃が熱を持っていて次の弾を入れる事が出来ないでいるみたい。


これってこの間に各個撃破出来そうよね‥


マルコイは物凄く銃の危険性を言っていたけど、付け入る隙も結構ありそうね。


でも確かに脅威ではあるし、銃を持っただけで強くなった気がする事もわからないでもないわね‥


「い、急げ!何度も同じ事が起こるはずがない!この化け物を撃ち殺すんだ!」


はいはい。

もう化け物でいいわよ。


今度は魔力を練り上げる。


魔力と気を昇華させて小さな火球をつくりあげる。


その数10個。


圧縮して小さくしているが、その小さな火球には通常使う火球よりも多くの魔力を込めている。




魔法の構成上、火球は目標に向かい前に進もうとしている。


その火球を気で覆う事で、その場に留めさせる。


前に進もうとする力はそのままだから、自然と火球はわたしの身体の周りを回り出す。


「な、なんだそれはっ!ぜ、全員急げっ!」


魔法ってイメージよね。


わたしは親指を立てた状態で、人差し指を衛兵を仕切っている男に向ける。


「バンッ!」


わたしの掛け声と同時に火球の1つが衛兵に向かって飛び出す。


火球は男の足元に着弾して爆発を起こす。


「ぬぐわぁっーーーー!」


男は爆発した地面と一緒に空高く舞い上がり、そのままどこかに消えていった。


死にはしないだろうけど、当分の間ベッドでの生活でしょうね‥


残りの衛兵に向かって同じように人差し指を向けて、掛け声と同時に火球を放つ。


10数人いた衛兵は、6発の火球を放った時に全て空高く舞い上がっていた。


「ふぅ‥‥‥‥スッキリしたぁ!」


なんだかんだで、結構我慢してたみたいね。


魔法で敵を吹っ飛ばしたから、かなりすっきりしたわ。



アキーエの周りにはまともな建物は残っておらず、全てが瓦礫と化していた。


幸い人がいなさそうな方に逃げていたから、巻き込まれた人はいなさそうだ。


しかし‥


「ちょ、ちょっとだけやり過ぎたかしら‥」











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