第943話

俺は魔王がいる方に歩みを進める。


さてと‥


後は任せろと言ったものの‥


ラケッツさんに渡した魔道具は装着者の意思だけではなく、独立でも動くタイプだ。


それにあやめの『電気ビリビリ赤槍君』の落雷はおそらく勇者組に渡した魔道具の中では最速の攻撃のはず。


それが当たらないとなると‥


どうやって攻撃しよ?



カッコつけて出てきたのはいいけど‥


まあどうにかするしかないけどな。


多分何か秘密があるはずだ。

おそらくスキルだと思うが‥


とりあえず鑑定してみるか。



俺は魔王に対してスキル【技能眼】を使う。


ジェズアルド

スキル【魔王】

魔族の王たるスキル。発現すると能力の向上及び、スキル【血の盟約】を覚醒する。


スキル【血の盟約】

魔王専用スキル。近い血族のスキルを使用する事ができる。制限あり。

血族の身体を借りる事ができる。その際使用できるスキルは本人の物に限る。


スキル【闇神体】

身体能力及び魔力が飛躍的に向上し、攻撃を命中させる度に肉体のみならず精神にダメージを与える。


スキル【熱変換】

物の温度を変更する事ができる。



さすが魔王。

とんでもないスキルの目白押しだな‥


しかし攻撃を避けるスキルや、あの鎧のスキルが見当たらない。


もしかしてスキル【血の盟約】とやらで、血族のスキルを使っているからか?


ちっ、ヒントも得られない訳か‥


しょうがない、戦いながら予測していくしかないだろうな。


俺はエンチャント:穿つ者を発動する。


攻撃を避けるのがどんな方法なのかわからない。

戦闘の経験による予測なのか、それとも相手の身体の動きを見て反応しているのか。


とりあえず攻撃してみない事には検証しようがないな。


俺は魔力を練り、魔法を放つ。


「凍てつく息吹よ、命を刈り取れ『凍土界』」


魔王の足を止めるため、広範囲の大地を凍らせる魔法を放とうと地面に手をつける。


その瞬間魔王はこちらを見る事もなく、その場で高く跳躍した。


魔王に向かって放った魔法は、ラケッツさんの足元のみを凍らせて収束する。


「なんだと!これも躱すだと?」


完全に死角から放った魔法で、しかも目視し難い魔法だったはず。


これも躱すとなると‥


「いやいやいやいや!マルコイさん!俺の足!俺のあし〜!」


え〜い、うるさいやつだ。


心配するな、何かあったら魔改造してやるから。


ん?

足に魔道具をつけるのではなく、足自体を魔道具にするか‥


面白いかもしれないな‥


「何か考えてる!マルコイさんが何か悪い事を考えてるっ!」


ちっ、人の思考を読むとは、お前はキリーエか。


魔王は足の固まったラケッツさんを他所に、正人の方に駆け出す。


なるほど。

あやめの言っていた事は本当みたいだな。


ラケッツさんは足が固まっているとはいえ、魔道具を装着してるから攻撃されても問題ないとは思っていたが、動けない敵を目の前にして、それを全くスルーして正人の方に向かうとは‥


俺はエンチャント:勇敢なる者を発動し、正人の元に向かう。


魔王が振り上げた爪が、正人に届く前に魔王の爪を攻撃する。


しかし俺の剣は魔王の爪に当たる事なく、地面を攻撃する。


なに!


まさか爪を狙った攻撃まで読まれたのか?


魔王の爪は俺の剣を避け、正人が構えている盾を直撃する。


盾で受けたとはいえ、その威力に吹き飛ばされる正人。


正人は吹き飛ばされたが、木の枝にアフロが当たり勢いを落として地面を転がる。


くそ、攻撃を躱されるカラクリを見破らないと、一方的に攻撃されるぞ。


「大丈夫か正人!」


「うっす!盾で防いだから大丈夫っぽい感じっす!」


すぐに恵が正人の元に向かい、回復魔法をかける。


今回は盾で防げたからよかったが、直撃したら流石にやばそうだ。


ん?


盾で防いだ?





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