第942話
う〜ん‥
後ろの方でめちゃくちゃ爆発音がしている‥
おそらくラと思うんだが‥
正人たちが相手しているのは魔王1人のはずだ。
エルフたちは女王の命で動いているから、魔王の援軍には行っていない。
まあエルフの伏兵や、魔王の仲間がいれば話は別だが‥
魔王が1人と考えた場合、魔王1人対ラケッツさんとガッツォさん、モブキャとラタチ。
それに正人たち4人。
1人対8人の構図になっているはずだ。
それに全員に強力な魔道具を渡している。
俺が今まで戦ってきた魔族程度なら問題なく倒せるはずだ。
しかし予想していたよりもラケッツさんの鎧の爆発が多い‥
もしかしたら苦戦しているのかもしれないな‥
やはり魔王といったところか‥
今のところ女王との戦いはこちら優勢で進んでいる。
「アキーエ。」
「いいわよ。こっちは何とかなりそうだし。もし手に負えない相手が出たとしても、マルコイが戻って来るまで時間くらいは稼げると思うわ。」
うむ。
以心伝心。
さすがアキーエさん、俺の思ってる事がわかってらっしゃる。
「すまない、一度向こうの様子を見てくる。それまで無茶苦‥間違えた無理しないでくれ。」
「わかったわ!マルコイが来るまで我慢しておくわね。」
すみません、言い間違えただけです。
そんな素敵な目力で見ないでください‥
爆発音がした方に駆ける。
森の中を走っていると、急に開けた場所に出る。
木々が焦げていたり、薙ぎ倒されたりしている。
おそらく魔王との戦闘のせいだろう。
すぐ近くでまた爆発音がする。
音のした方を見ると、魔王に吹き飛ばされているラケッツさんとデカイ頭がいた。
ラケッツさんはわかるが、何故デカ頭まで吹っ飛んでるんだ?
爆発のせいで辺りに煙が立ち込めているが、その煙の中から人影が出てきた。
その人物はフルプレートの鎧に身を包んでいた。
いや、フルプレートのように見えるが、普通の鎧ではなようだ‥
普通の鎧は壊れた箇所を修復しようとしない。
その人物が着ている鎧はひび割れや焼け焦げた箇所があり、側から見てもボロボロになっている。
しかし壊れた箇所が自分から動いて別の箇所と結合している。
おそらくしばらく時間をかければ元に戻りそうだ‥
それに鎧と言うよりも、昆虫の身体のような感じがする。
まるで蟻とバッタが合体したような格好だ‥
正直‥‥‥
かっこいい‥‥
ゲフンゲフン‥
いかんいかん。
今はそれどころじゃない。
後で調べる程度にしておかないと‥
その時、空から稲光が走る。
鎧の人物は雷が落ちてくるのがわかっていたかのように、その場から動いて雷を躱す。
「なによそれ!稲妻まで躱すって言うの?こんな奴どうやって戦えばいいのよ!」
その声は上空から聞こえてきた。
上を見るとあやめが槍を構えたまま宙に浮いていた。
雷はあやめが魔道具を使って発生させた物のようだ。
「よう。苦戦してるみたいだな。」
「マルコイ!」
あやめは俺の姿を見てすぐに地上に降りてきた。
「どうしたの?向こうは大丈夫なの?」
「向こうはアキーエがいるから大丈夫だ。それに暴れたくてうずうずしてたのがいるからな。多分問題ないだろ。それよりもこっちはどうなってるんだ?」
「あたしたちは魔王1人と戦ってるんだけど‥あたしたち皆んなで何とか足止めしてる程度かな。誰かやられたらすぐに正人の元までいかれそうな感じよ。」
やはりあれが魔王だったか。
城にいた時と格好が違うが、おそらくスキルなのだろう。
「正人の元?どういう事だ?」
「どうやら魔王の狙いは正人1人みたいなの。あたしたちもラケッツさんたちに比べたら攻撃されるけど、正人は段違いに攻撃される。だからラケッツさんと恵が正人への攻撃をどうにか防いでるんだけど‥その間にアタッカーのあたしたちが魔王を止めないといけなかったんだけどね。」
「止めれないのか?」
「そ。攻撃が当たらないから、このままいくとジリ貧だったわ。せっかくマルコイに貰った魔道具も使いこなせなかったら意味ないわね‥ごめん。マルコイ、手を貸してくれる?」
正人を、仲間を心配してるのが伝わってくる‥
まあ俺もアキーエを狙われたら何が何でも敵をぶっ飛ばすけどな。
「はっは。あやめにしては珍しく殊勝だな。わかった、後は任せろ!」
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