第106話
闘技会予選2日目となった。
俺の試合は第二試合目になる。
一試合目はスコルが出場している。
『雷鳴の音』のリーダーで雷鳴を体現するようなスピード重視でスキル【下肢筋力向上】を用いて戦う人だ。
流石にパーティリーダーだけあってかなりの強さで戦いを優位にすすめている。
しかし相手も同じBランク冒険者だ。
簡単にはいかず、戦闘時間が長引いている。
スコルさんの予選は人数が6人の勝ち抜き戦になってしまっている事も響いているのだろう。
スコルさんが1対1になった時には自慢のスピードにも陰りが見えていた。
それでも善戦はしていたが、スコルさんが大剣士に大剣を叩きつけられ動きが取れなくなった。
それでも戦闘を続けようとしていたが、場外の仲間からギブアップするよう声をかけられ、渋々負けを認めていた。
残念だった。
スコルさんは強いが、運が悪かった事もあるだろう。
しかし自分の対戦相手を見ながら人の事は言えないなと思ってしまうマルコイだった。
「2日目予選の第二回戦出場者は場内に!」
場内に行こうとすると、アキーエが俺の手を取る。
「大丈夫?緊張してない?武器は持った?ハンカチは?お茶は?」
「オカンかっ!」
なんで自分が出場する時より緊張してるんだよ。
ミミウの時も緊張していたようだったけど、順番的に自分が後だったからそれどころじゃなかったのか?
今は自分は本戦に上がる事ができたから、俺が心配になったんだろう。
「大丈夫だ。俺の実力はアキーエが1番わかってるだろ?」
「確かにそうだけど‥それでも何があるかわからないから本当にきをつけてね。」
何があるかわからないか‥
確かに何か持ってそうな奴が相手にいるからな。
会場に入り、中にいる対戦相手に目を向ける。
「まさかこんなに早くあんたと当たれるとは思わなかったぜ。」
大会の運営委員会を買収したんじゃないか?
アキーエにこんがり焼かれればよかったのに、嬉しそうにニマニマしているノギスがいた。
「なんだ?マルコイの知り合いか?」
『獅子の立髪』のカリーンさんもいる。
カリーンさん、ノギスの相手してくれないかな?
「なんか訳ありみたいだな。そしたらそっちの戦いが終わったら、私とも戦ってくれよ?」
そんな気を使わないんでいいんですけどっ!
「お前をボコボコにしてナーシスに俺の方が強いだって事を証明してみせるぜ。」
確か希少スキルとか言っていたな。
馬鹿だけど、【鑑定】したら気づくかな?
その前に馬鹿だから自分で言ってくれないかな?
「確かノギスだったよな?Cランクで闘技会に出場したり、そんだけ自分の事を強いって言ってるんだ。よほどのスキルを持ってるんだろうな?」
「あ?当たり前だろうが。俺のスキルは【狂戦士】だ!俺の感情で強さがどんどん上がっていく。お前に対しては天井知らずに上がってるぜ。それにとっておきの切り札もあるからな!」
う〜ん。
やっぱりお馬鹿さんだったか。
自分のスキルがバレてないという事は優位な点だってのにペラペラと喋るとは‥
しかも切り札の存在まで。
まぁそれだけ自分のスキルに自信があるんだろうな。
「それじゃ準備はいいか?二回戦を始めるぞ。」
さてさて、他を警戒しながらノギスをシバくとしますか!
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