第864話
「このお肉美味しいですぅ!」
「おお、そうかそうか。それならもっと持って来させよう。おい、すまんがこれと同じ物を持って来てくれ。」
う〜ん‥
何かお爺ちゃんと孫みたいになってるんだけど‥
「わーい、やったですぅ!」
しっかり餌付けされとるな。
「すみません王様。うちのミミウがお世話になっているようで。」
「あ!マルコイさんですぅ!」
「おお、マルコイか。構わんよ。私の娘も生きていればこの娘くらいの歳であったからな。こうやって一緒にいて、話ができるだけで娘と一緒にいる気分になれるようだ。ありがとうなミミウよ。」
「いいですよ、でもおじさん子供さん亡くしたですか‥それは悲しいですぅ‥ミミウのお父さんはイルムさんですけど、ここにいる時はミミウの事娘って思ってもいいですよ!」
「おお!そうかそうかミミウちゃん。ありがとうなぁ。お父さんは嬉しいよ。」
え、えっと‥
なんだろう、どうしていいのかわからない状況なんだが‥
俺の予想では娘ってのは多分あながち間違っていないんだよ。
「ミミウも嬉しいですぅ!ミミウの本当のお父さんはわからないけど、イルムお父さんの他にもう1人お父さんができたですぅ!」
おいっ!
ここでそれを言いますか!
「なに?ミミウちゃんのお父さんは本当のお父さんじゃないのかい?それに本当のお父さんがわからないって?」
「ミミウは森の中でイルムお父さんに拾われたですぅ。」
「なんとっ?」
王様はその場で固まるように動きを止めた。
自分の亡くなったと思っている娘と同じくらいのドワーフの血を引いた娘。
その娘が拾い子だった。
そりゃもしかしたらって可能性を考えてしまうよな。
「ミミウちゃん‥いや、ミミウよ。そなたは本当の親に会ってみたいとは思わぬか?私はドワーフの国の王だ。少し時間はかかるやもしれぬが、おそらくそなたの本当の父親を探し出す事ができるやもしれんぞ。」
まあそうなるよな。
もしかしたら1パーセントでも自分の娘の可能性があるかもしれない。
だったら何としても知りたいと思ってしまうだろう。
「どうだミミウよ。私に任せてみぬか?」
流石にこれ以上は‥
「王様。すみま‥」
「う〜ん‥今は会わなくても大丈夫ですぅ!今はマルコイさんたちと旅をするのが1番ですぅ。」
そうだったな。
俺が心配する事じゃなかったんだった。
「イルムお父さんはミミウをたくさん愛してくれたですぅ!だからミミウのお父さんはイルムお父さんですぅ。もし本当のお父さんがいたとしても、それは変わらないから大丈夫ですぅ!」
その言葉を聞いた王様はハッとした顔になったが、すぐに柔和な顔になった。
「そうだな。大事な父親と素敵な仲間に囲まれているのだ。これ以上のことはあるまい。あとはミミウが結婚などする事があれば、その時にミミウの父親の事を調べればいいだろう。なあ、マルコイ。」
王様はとても素敵な笑顔で俺を見ている‥
な、何故だ?
「そうだ!ミミウちゃん。結婚相手だが、マルコイとかどうだ?彼ならミミウちゃんの事を大事にしてくれるぞ。」
おいおい。
ちょっと待ちなさいよ。
「結婚?マルコイさん?う〜ん、よくわかならいけど、マルコイさんはたくさんご飯食べさせてくれるから、ずっと一緒にいたいですぅ!」
王様‥
ドヤ顔でこちらを見ないでくれますか?
俺はアキーエさんがいるので、他に何人も嫁は要りませんよ。
まあでも、ミミウならずっとそばにいてくれそうな気はしてるけどて
「マルコイよ。貴公は王の器だ。その王たる者の使命として、自身の血を、子孫たちを増やしていくのも一つの仕事だと私は思っているぞ。」
ふむ。
それならアキーエさんに10人くらい子供産んで貰えばいいような気がするんですけど‥
「まあ貴公はまだ若い。焦る必要はないと思うが、これだけ魅力的な女性が近くにたくさんいるのだ。本命以外でも妾を作るのもありかもしれぬぞ。」
そんな事アキーエさんが許してくれるはずがないでしょうが。
爆散してしまいますよ、まったく。
「はは。わかりましたよ。俺が王の器とかいうのは置いといて、ありがたい助言として受け止めておきます。」
「ふむ。まずはそれでよかろう。そのうち私が言った意味もわかるだろうて。ささ、難しい話は終わりだ。それじゃミミウちゃん、他に欲しい食べ物はあるかい?」
「ミミウはマルコイさんが作ったお肉料理が食べたいですぅ!」
うおっ。
これまでの話の流れをぶった斬ってのミミウさんの注文が入りました。
まあ俺と一緒にいるとご飯いっぱい食べれると言ってるからな。
精一杯作らさせてもらいますか‥
----------------------------------------------------------------------
〇読んでくださった方へ
よろしければ、星をポチッとしていただけると、とても嬉しいです。
今後の執筆のモチベーションにもつながりますので、ぜひよろしくお願いします~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます