第865話

ふっふっふ。

ミミウよ。

俺を今までの俺と思うなよ。


俺には新しく模倣した新スキル【痛覚耐性】がある!


これがあればミミウが満足するまで料理を作る事ができるはずだっ!





はい、そんな事が出来るはずないのはわかっていました!


スキル【痛覚耐性】は確かに優秀だったよ。


今までと違い、腕に痛みをあまり感じなかった。


これならと思ったけど、突然腕が動かなくなった。

まあ【痛覚耐性】って痛みに対して耐性がつく事で、多少の痛みがあっても問題なく動けるスキルみたいなんだよ。


だから俺は腕の痛みをあまり感じなかったので、そのまま酷使していたら、突然糸が切れたように動かなくなりました。


やはりか‥

今回も勝てなかったな‥






「マルコイよ‥ミ、ミミウちゃんは、いつもこんなに食べるのか?」


数時間後、地面に横になりビクンビクンとなっている俺に王様が聞いてきた。


「ええ。今日は祝勝会の料理を食べてたから、このくらいですみましたが、いつもならもっと食べますね。」


あ、ミミウちゃんまだテーブルの料理食べてますね。

やっぱりまだまだいけるみたいです。


「ぬぬ‥こ、これでは1年も経てば食費だけで国が傾くのではないのか‥」


ぬはは!

やっと気づきおったか!

そうだろうそうだろう。

ミミウをその辺の大食いと一緒にしてもらっては困る。


この娘は国を滅ぼすほどの食欲を持っているのだよ。


この娘を送り込むだけで国崩しができるんだぜ。

傾国の美女ならぬ、傾国の暴食少女だな。



まあこの祝勝会でも出ている、新しい特産品となったプリカ酒や餃子のおかげで国としての収益も上がるはずだから、いきなり傾くことはないだろうけどね。


俺がビクつくまで大量の食事を提供したのに、いまだにテーブルに出ている食事を食べているミミウを見ながら呆然と呟く王様。


このくらいで驚いている人に、うちの娘はあげませんよ!




しかし王様のミミウを見る目がとても温かく見える。


自分の娘と重ねているのか、それとも自分の娘と思っているのか‥


まあその辺は家族しかわからんわな。


結婚うんぬんは置いておいて、色々と終わったらミミウと共にここに来るのもいいのかもしれないな‥







王様とミミウはまだ楽しそうにしているので、俺はその場をそっと去った。


お爺ちゃんと孫の楽しい会話を邪魔するわけにはいかないからな。


決して腕がヤバいから逃げ出したわけではない。


まあそれはさておき。


俺は今はこの会場にいる人たちのスキル模倣でいろいろな人に声をかけている。


スキル【技能眼】で見た時もそうなのだが、ここにいる貴族の人たちは耐性持ちの人が多い。


今までは貴族の人に鑑定したりする事なかったからな。

バレたら多分不敬罪だし。


それに貴族が冒険者カードなんて持ってないと思ってるからスキルを模倣する対象ですらなかったもんな。


貴族だから耐性スキル持ちが多いのか、それとも耐性スキルを持っている人が貴族になっているのか‥


俺としては後者かなとも思うけど‥


辺境を治めている貴族なんかは戦闘用のスキルを持っている子供を重宝するだろう。


しかし内地にいる貴族は、おそらく子供に戦闘用のスキルなど求めていないはずだ。


戦闘用のスキルを持って生まれた子供は、騎士団に入るなど危険な仕事にまわってしまう。


しかし耐性系のスキルを持っている子供は戦場に出る事はなく、家を継ぐ事になるのだろう。


俺が冒険者ギルドや戦場で耐性系のスキルを見かけなかったのは、多分そんな理由だろう。


国のために戦い、お偉いさんたちが出席するような会に出て、初めて耐性系のスキルと出会うとは皮肉というか何というか。


まあそんな箱入り貴族たちばかりだから、自分のスキルがなんであるか他人に聞かれてもホイホイ答えてくれる。


【毒耐性】持ってる人もすぐに教えてくれたけど、毒が効かないってバレないほうがよかったのでは‥


まあ俺の英雄パワーが強力だったから、簡単に教えてくれたのかもしれないな。


英雄とか呼ばれるとムズムズしたけど、思いの外役に立って良かった。


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【精神耐性】を模倣しました』


(ピコーンッ)


『模倣スキルを発現しました。スキル【麻痺耐性】を模倣しました』



その後も俺の英雄トークをぶちかまして警戒心を解き、様々なスキルを模倣させてもらった。


とりあえずここにいる人たちの中で有用そうなスキルは一通り模倣できたかな。


毒や状態異常の耐性もそうだが、魔族側に洗脳のスキルを持っている奴がいるはずだから、それに対しての耐性作りはできたはずだ。


あとは魔道具で味方の装備を整えれば大丈夫かな。



「マルコイよ。少しいいか?」


ん?

どうしましたお爺ちゃん?







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