第278話

男たちは前衛4人と弓士、魔法使いの6人パーティだな。

前衛は剣持ちが2人と盾士、槍士か。

一般的な戦闘系のパーティだ。


剣士2人がこちらにやって来る。

他の4人はニヤつきながらその様子を見ている。


う〜ん。

やっぱり舐められてるな。

そりゃそうか。

自分たちより若い俺が一斉にかかってこいって言っても本気にする訳ないか。

しょうがない1人くらい減ってもいいな。


俺は無造作に前に出る。

剣士の男は反応できていない。

男の首に木剣を軽く当てる。


男は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちた‥


「ふむ。まだまだだな。理想には程遠い。」


獣人国にいる時多くの模擬戦をしたのだが、やはり強い人と闘うのはいい訓練になった。


強い人は動きが違う。

重心の掛け方や初動の無駄のなさが全然違った。

前に進むという工程でどれだけ動きの無駄をなくしているかで強さが測れた。


まあ一概にそれだけでわかるわけではないけど。

だってバラックスさんなんて動き無駄ばかりなのにめちゃくちゃ強いからな。


まあ一見無駄に見えて次の動作に繋がってたりするから更にたちが悪い。

アレカンドロとの模擬戦で更に磨きがかかってたからな。


剣士の1人が突然崩れ落ちた事で他のメンバーは警戒しだした。

最初からしとけっての。


魔法使いは魔力を練り始め、弓士は俺を狙える位置に移動している。


盾士が前に出て、その後ろに槍士。

もう1人の剣士は遊撃かな。


ちなみに先程盛大に転けたのは剣士で、おそらくこのパーティのリーダーだろう。


対してこちらは1人だ。

俺に対する動き自体は特に悪くない。


まあ悪くないってだけで俺から言わせると‥

はっきりと言って遅い。


盾士と槍士がすり足でこちらに進んでくる。


それを眺めていると、弓士が矢を放った。

隙でもなんでもない状況で矢を放つか?

威嚇かな。

モンスターならいいが人相手なら無意味じゃないか?


俺は飛んで来た矢を木剣で撃ち落とす。

すると盾士の後ろにいた槍士が槍を放ってきた。

矢を払った木剣の軌道を変えて木剣を上から槍に叩きつける。


その衝撃で槍士は槍を手放してしまう。

追撃をしようとすると盾士がそれを阻もうと動く。

俺は盾の端を手で掴み無理矢理引き剥がすように盾を横に引っ張る。

すると正面からの衝撃に備えていた盾士はその場で回転するように後ろを向いてしまう。

膝裏に蹴りを入れて跪かせて木剣を首に当てる。

盾士は崩れるように倒れる。


そして槍を拾い構えようとしていた槍士に間合いを詰めて同じように木剣を当てる。

こちらも同じように崩れ落ちた。


「さて残るは3人だな。」


「て、てめー何しやがった!」


別に何もしてないっての。

普通に闘っただけだろうが。


それじゃ少しスキルを使うとするか。


「くらえっ!『火球!』」


魔法使いが魔法の準備ができたようで魔法を放った。


魔力を練るのも遅いし、放った魔法も遅い。


これくらいなら大丈夫かな。


火球は俺に直撃する。


しかし火球は俺の身体に当たる事なくそのままの状態で魔法使いに向かい跳ね返った。


「うわっ!」


魔法使いは自分の魔法を転がるように避ける。

おおよかった避けてくれたか。

流石に自分で放つわけじゃないから手加減のしようがないからな。


やはりスキル【反射】はかなり優秀なスキルだ。

魔法に限るが、相手の攻撃をそのままの威力で反射する事ができる。


まあ相手の魔法の威力が高かったらそのまま押し潰されるけどな。

アキーエの魔法だと反射しきれずに爆発した。

またしてもアフロをエンチャント:水で治す羽目になったものだ。


これが何かと統合か譲与結合してくれるといいんだけどな。


魔法使いは転がって避けたが、着ていたローブの端が火で燃えており必死に消そうとしている。


魔法使いに近づきローブの火を消してやった後に木剣で気絶させる。


さて残りは2人だな。

どのスキル使おうかなぁ〜。

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