第905話

夕方くらいにキリーエが戻ってきた。


ミミウがまだ戻ってきていないが、とりあえず話をすることにしよう。


多分ミミウはもう1匹くらいオークエンペラーを捕まえてきそうなので、お料理タイムになる前に話をしておかないと。


キリーエを呼び、居間で話をする事にする。


アキーエにキリーエ、アレカンドロとリル。


それに勇者たち4人にガッツォさんたち3人。


かなりの大所帯になってしまったな。


「キリーエ、帰ってきてすぐにすまない。バーントのおっさんに聞いたんだが、少し問題が起こってるみたいだから、ここらでみんなで情報の共有がしたくてな。」


「それはええんやけど‥なんや身内のハジ晒すみたいで申し訳ないわ‥マルコイさんも聞いてるみたいやけど、どうやらうちの兄さんがエルフの国相手に商売をやってるらしいんよ‥」


「ん?それは別にいいんじゃないのか?商人がどこと商いしようが、その商人の自由だろう。それに今まであまり交易のなかったエルフの国とだ。歓迎こそすれ、問題になる様な事はないと思うのだが‥?」


ガッツォさんが不思議そうな顔でそう告げる。


おお、ガッツォさんもちゃんと考えているんだな。


基本頭部は防御力が低いから、頭蓋骨を厚めにして防御力を高めているのかと思っていた。


困っている人をみると後先考えずに突っ込むしな‥


「そやね。てかガッツォさん久しぶり。マルコイさんに連れられてきてるんやと思うから、ガッツォさんも聞いてもらっていいんやろうけど‥ガッツォさんも大変やね‥」


キリーエとアキーエが俺を見ながら何故かため息をつく。


君たちちょっと失礼じゃないかい?

ガッツォさんの方から協力するって言ってくれたんだよ。


「まあええわ。ガッツォさんの言うとおり、普通の商いやったらええよ。うちの実家は食材関係の商いしとるさかい、そういった物を取り扱う分やったら問題にならん。そやけど、どうやら兄さんが取り扱ってるんは武器や魔道具らしいんよ。それも大量に‥もともと食材関係の商いをしとったんやから、武具類のツテなんてあるはずないし、仕入れ値もぼったくられとるんと違うかな?そやけど、それをエルフの国は言い値で買い取ってくれるそうや。」


まあそうだろうな。


キリーエの実家のツテが使えないのであれば自分でどうにかするしかない。


しかし武具類に関しては、いくら長年商人をやっていたとしても全くの畑違いだ。

上手くいくとは思えない。


しかしエルフの国は言い値で買い取ってくれるね‥



俺の魔道具も売れるのだろうか‥


迷惑かけない程度で魔力を流すとアフロになる長剣とか‥


「今のところ取引もうまくいってるみたいで、兄さんはかなり潤沢な資金を得たみたいなんよ。それで更に大量の追加注文がきたみたいで‥」


う〜む‥

それはちょっとな‥


「それはまずいんじゃないのか?自国の武器を大量によその国に卸すなんて事がわかったら、問題になるだろう?」


「ガッツォさんの言う通りや。そやけど今兄さんは更に大量の武具類を仕入れしとるらしい。もちろんおかしいって事で、国にも報告がいってるみたいで。秘密裏に調査もされとるみたいやけど、箱入り息子の兄さんは全く気づいてないみたいなんよ。」


「キリーエ、ちょっといいか?その取引ってのはどこでやるんだ?」


「おそらくエルフの国との国境付近やと思う。兄さんが直接納品するんと違うかな。」


やっぱりそうか‥


「やっぱりマルコイさんもそう思う?」


「ああ。おそらく次の取引は成立しないんじゃないか?」


「どう言う事だ?」


「エルフの国は特に隠す事なく、王国の商人と武器の取引をしている。自国でも武具は準備しているはずたが、それでも足りないくらいにな。それだけの武器をどうすると思う?俺は他国に攻め入るくらいしか思いつかない。まず王国を攻めるのであれば、そこで手に入れた武器にお金を払う必要はないだろ。それにキリーエの兄貴だけじゃなくて、複数の商人がかかわってるんじゃないか?」


「なっ!エルフの国だぞ?自国から出ることがなかった様な種族が、他の国に戦争なんて仕掛けるはずがない‥‥」


引きこもり過ぎて頭おかしくなったのかもな。

それとも何かに唆されたのか‥


「マルコイさんの言う通り、調べたらいくつかの商人が関わっとった。ほとんどが貴族の次男や、商人の次男やら、実績を欲しがっとるもんばっかりやったけどね。」


ちゃんと下調べしてからの計画か‥

厄介だな。


「どうしますか、マルコイ殿!エルフの国にこちらから攻め込みますか!」


「ふっ、斬る‥」


アレカンドロ君にリル君、君たちはなぜそんなに血の気が多いのかね‥


「まだ何かをしたわけじゃない。今攻めたら、俺たちが悪者だぞ。とりあえず‥」


「ただいまですぅ!」


玄関を見ると、満足げな表情をしているミミウがいた。

よかったね、もう1匹捕まえれたんだね。


「とりあえず、腹ごしらえをしてから今後の事を決めるとしようか。」








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