第906話
お腹が満たされたところですぐに話し合いをしたかったが、俺の腕が死んでしまい挙手できない状態になったので、少し休んでからの開始となった。
ええ、もちろん恵にも手伝ってもらいましたよ。
先日作ったステーキにとんかつ、それに角煮。
そして今回は少し品数を増やして、酢豚や豚しゃぶ、生姜焼きなどなど。
1番人気があったのは、オークエンペラーを使ったベーコンだったけど。
本来は簡単な物でも1週間程度かかるが、そこは魔法を使いまくって時間短縮しましたよ。
うなれ俺の時空魔法。
オークエンペラーの腹部の肉を使い、肉を塩漬けして脱水させる。
そしてスパイスを効かせたソミュール液に漬け込んでから燻製して完成だ。
それぞれに1日から6日かかる工程があるが、腹ペコ大魔王がそれほど待ってくれるはずもなく、俺のあり余る魔力を行使したわけです。
おかげでベーコンは大変好評で、とりあえず10台程燻製器を作る事になった。
あ、もちろんキリーエさんの要望です。
将来的には100台近くは作って欲しいそうでした。
こんな時でもキリーエさんはブレません。
恵も聖属性の魔法を使い、自分の体力や腕の疲労を回復しながら戦ってました。
今は床でビタンビタンしてます。
ありがとう恵。
君の犠牲は無駄にはしない‥
そのおかげで俺は風呂に入る程度で、挙手できる程度には回復した気がする。
しかし疲労であまり挙手する事はできないので、厳選して意見をあげなければ‥
再度居間に集まり話し合いを行う。
「はい、それでは『もう何回目なのかよくわからないけど、今後の事を話し合っていこうぜ会』を始めたいと思います!」
「「いえーっ!」」
ふむ、のってくれてるのはミミウさんと正人だけか‥
よくわかってない2人だけどな‥
「はい、それじゃあ始めます。まずは情報の共有から。」
俺は今現在わかっている範囲の事を皆に伝える。
あくまで事実のみを伝えて、俺の憶測は含まない。
「これが今の現状だ。あとは俺の憶測になるが、エルフたちはどこかと戦争するつもりだろう。おそらくエルフェノス王国かと思うがな。それとこれも憶測ではあるが、次の武具の取引で商人たちは全員始末されるだろう。」
「それはなんで?戦力を削ぐため?」
「アキーエさん!手が上がってないですぅ!」
ミ、ミミウ‥
もしかして話し合いの時、それが自分の仕事と思ってないかい‥?
「あ、ごめん。はい!商人の人たちが始末されるのはなんでなの?」
「そうだな。まずはエルフたちは数回取引した事で商人たちの信頼を得てると思う。もちろん通常の商人なら今回の大量の武具の取引に関しては怪しむだろう。金を払ってくれるかどうかってな。しかし取引しているのは、なんとしても実績が欲しい奴らだ。たとえ怪しいと頭をかすめたとしても、それを無理矢理押し込めるだろ。まあまず真っ当な商人なら他国に大量の武具を卸さないけどな。おそらく今回の武具に関してはエルフたちは金を払うつもりないんじゃないか?戦争が始まってしまえば、払う必要のない金だしな。」
「なるほど‥とんでもないわね‥」
一国がこんな真似するとは思えないが、条件が整いすぎてるしな。
こんな事をしてしまえば、エルフェノス王国だけではなく、他の国も敵に回すだろう。
それでも構わないと思っているのだろうか‥?
「できれば、事前に取引自体を潰したいところだが‥」
「はい!」
「はい、キリーエさん。」
「うちはすでに兄さんに連絡をしたんよ。アホなことすなってね。でも兄さんはそんな事をしていない。大量に集めている武具は、商会で新しい部門を作るためだとか言って取り合わなかったわ。父さんに聞いたけど、そんな予定ないって言ってたけどね。」
やはりその場を抑えるしかないか‥
おそらく帳面なんかも簡単には見つからないだろうしな‥
「他の取引している人たちもそれとなく近づいたけど、明確な情報は聞けんかったわ。」
「もうその場に乗り込んで、商人たちをとっ捕まえた方がいいんじゃないか?」
「はい、ガッツォさん!挙手するですぅ!」
「あ、お、おう。はい。」
ガッツォさんパーティに入ったら、そのパーティの習わしに従わないといけないんですよ。
「もう直接取引の場所に乗り込んでとっ捕まえた方が早くないか?」
「それはそうなんだが‥そうなると、エルフたちも相手する事になると思うんだ。」
「はあ‥あ、はい。そんなの今更じゃない。ついこの前ドワーフの国で暴れたの忘れたの?」
「でもこの前は国のクーデターを抑えたんだ。それが今回は一国が相手だ。」
それに暴れたのは主に俺ではなくて、あなたですアキーエさん‥
「でもとりあえずキリーエのお兄さんの事が第一よね。エルフの人たちだって、その取引の場に戦える人が全員くるわけじゃないんだから、大丈夫なんじゃない?」
う〜む‥
そんなもんなのかね‥
まあいいか、いざとなればアキーエさんが全部吹っ飛ばすだろうし‥
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