闘技会が終わって

第243話

闘技会は俺の不戦勝という形で優勝となった。

今回の闘技会はこのまま中止だろうと思われており街のお祭り騒ぎも収まっていた頃なのでそれ程残念だという声も聞かれなかったらしい。


俺もリュストゥングと闘わないままだったら納得できなかったかもしれないけど、闘う事ができたから別に構わなかった。


しかしながら闘技会優勝という事実は各国に流れた。

キリーエ曰く、これからもっと人が押し寄せてくるんじゃないかとニマニマしながら言ってくれた。


勘弁して下さい。


その日は不戦勝ではあるが、優勝という事でキリーエが祝ってくれた。


また新しい店を作ったようで、そちらに呼ばれる事になった。

いつもはパーティメンバーだけだが、今日は最近うちに居候気味になっているアレカンドロも連れてきた。



『レストラン・クリエイト』


おお!

レストランという名称は俺が異世界の知識で知り得た事を伝えたんだが、今度こそ俺の名前が使われていると思ったが、パーティ名だった。

助かったと思い店の前を見ると‥


等身大の絵が飾ってあった。

銀髪で少し眠そうな目をしているまあまあのイケメンだ。


俺じゃないか‥


よく見ると『闘技会優勝者マルコイのおすすめの店!』

とか書いている‥


地面に膝をつきガックリとしている俺にキリーエがニマニマしながら話しかけてきた。


「この店は今まで出した料理やお酒が楽しめる店になってて、それぞれ専門の店の方が品数は多いけど、人気の料理ならある程度食べれるし、お酒もかなりの数を揃えてるんよ。やっぱり集大成って事もあるから名前はパーティ名にしてみたんよ。」


「それはいいが、なぜ俺が飾ってあるんだ‥」


「えへ。今までは可愛い娘を使ってたけど、闘技会優勝者の名前を使わない手はないかなぁって。」


えへ。じゃない‥


これは思ってた以上に恥ずかしい‥


「おい!あれってマルコイじゃないか?」


「本当だ!アキーエやミミウもいるぞ!」


うわー!

普段なら気にならないけど自分の絵が飾られている前だと100倍恥ずかしい!


俺は顔を隠しながら店に入るのだった。





店の中は少し高級な感じがする店だった。


広くとってあるフロアにテーブルが置いてあるが、テーブルの間隔も普通の店に比べたらかなり広くとってあり全体的にゆったりとしている感じがする。


すでにお店には沢山の人が入っていた。

いつもは俺たちだけだが、今日は優勝を祝うパーティだと言うことで自分たちと親交がある人たちを集めてくれたらしい。


ノギスやそのパーティのナーシス。

アマンダさんやらアリア、モラさんなんかもいる。


「それじゃお待ちかねのマルコイさんが来たからみんなはじめたって!」


「マルコイさんおめでとうございます!」「マルコイおめでとう!」


こんなに沢山の人に祝ってもらえるなんて思わなかった。


「キリーエありがとうな。」


「どういたしまして。うちもパーティメンバーやからマルコイさんの自慢をしたかったんよ!」


はは。

恥ずかしいけど本当に嬉しい。


「ようマルコイ!」


そう言っていきなり肩を組んできたのはバラックスさんだった。


「闘って強いとは思ったが、まさか優勝するとはな!リュストゥングと闘っても勝てたんじゃないのか?」


リュストゥングと闘った事は誰にも言っていない。

知ってるのはパーティメンバーとアレカンドロくらいだ。


「どうかな?闘ってみないと何とも言えませんよ。」


「またまた〜。謙遜しやがって。そう言えばお前新しい家に住んでるらしいな。今度遊び行くから模擬戦してくれよな。」


な、なぜ知っている!


いや、大丈夫だ。

今はアレカンドロがいる。

アレカンドロなら勝てはしないだろうが、バラックスさんが満足する事はできるだろう。


「それが今めちゃくちゃ模擬戦を挑まれてて大変なんですよ。だから今はこのアレカンドロに挑戦してもらって勝てた人は俺が闘うみたいな感じになってるんです。アレカンドロもかなりやるから、よかったらバラックスさんもアレカンドロとやってみませんか?」


「なに?それは楽しみだ!今度来た時は相手してもらおうか!」


よかった。

アレカンドロも脳筋さんだから気が合うだろう‥


「それにしてもそんなに挑んでくる奴がいるのか?それじゃお前と闘うには名前書いて受付しないといけないな!はっはっは!」


確かに名前書いて順番待ちしてほしいとは思う‥

予約制にするか?


ん?


これって‥


「なあアキーエ。」


「どうしたの?何かあった?」


「いや、今思いついたんだけど、闘い挑んできた人にギルドカード出してもらったらスキル模倣し放題じゃないか?」

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