第244話

「確かにそれはいいわね。」


「だろ!ギルドカード提示してもらってアレカンドロとの模擬戦見ればスキルを模倣できる!これならめちゃくちゃ沢山のスキルを模倣できるんじゃないか?」


「静かにマルコイ。他の人に聞かれるわよ。確かにいい案だけど、残念だけどめちゃくちゃってのは少し違うわね。」


ん?

なぜた?

完璧な作戦じゃないか?


「う〜ん。そうね‥アレカンドロちょっと来てくれない?」


「アキーエ殿どうなされた?」


兜を脱いで、綺麗な顔をしたアレカンドロがやってきた。

違和感がありまくるから付け髭してほしい‥

それでも美男子になってしまうけど‥


「アレカンドロってギルドカードって持ってる?」


「ギルドカード?自分は傭兵ですからギルドに登録はしていません。それが何か?」


あ!


「やっぱり傭兵ギルドとかないのよね?傭兵の中でギルドカード持ってる人ってどれくらいいるかしら?」


「基本傭兵は団として雇われるのでギルドは必要としてません。もし傭兵でギルドカードを持っているなら冒険者から傭兵になった者でしょうな。傭兵の中にも何割かはいると思いますよ。」


そうか‥

傭兵はそうなるのか‥


そしてアキーエが続ける。


「あと騎士団や国軍に所属してる人も無理でしょうね。この間来たルーベストなんかも持ってなかったんじゃないかしら?国軍は国が発行する身分証があるからギルドのカードは持ってないはずよ。それに国軍の身分証なんかはそれだけで国がその人を証明する物だから名前だけあれば充分でスキルとか記載してないかも。国によっては記載があるのかもしれないけど、確認しないとわからないわ。」


それは盲点だった。

確かに模擬戦を挑んでくる人は騎士だったり傭兵だったりが多かった気がする。


「でもこの国の冒険者は闘技会を見ているからバラックスさんみたいな人しか来ないかもしれないけど、他の国の冒険者だったら挑戦してくると思うから全くの無駄じゃないわ。だからやってみましょう。」


残念ではあるが冒険者も確かに挑戦してくる事がある。

彼らから模倣させてもらうとしよう。


「ありがとう助かるよ。」


「どういたしまして。マルコイの役に立てたらなよかったわ。」


むおっ!

なんかアキーエが可愛い事を言っている‥


よく見ると頬もピンク色だ。


さてはお酒を飲んでるな?


「あんまりお酒飲みすぎるなよ。」


「ふふ。ありがとう。でもマルコイに出逢えてよかったわ。小さい頃からずっと一緒にいるけどこんなにいろんな事があるなんて夢にも思わなかったわ。それに‥ずっとわたしたちを守ってくれてありがとう。わたしのことを大事にしてくれてありがとう。」


アキーエ‥

こちらを見る目が艶っぽい。

急にドキドキしてきた。

今まで当たり前のように隣にいてくれて、これからもずっと隣にいてほしいと思う。

俺はアキーエが‥



「それは‥アキーエが大事だからだよ。俺はずっとアキーエのことが‥「マルコイどのー!」‥」


「マルコイ殿聞いてください!みたらし味の団子も美味しかったのですが、このあんこ?ですかね。このあんこ味がなんともビールに合うんですよ!この発見すごくないですか?」


アレカンドロが酒臭い。

相当飲んでやがるな。

お酒は美味しいからしょうがないけど‥

でもあんことビールはないと思うぞ。

しかし‥


「それにこの団子はハチミツにつけても‥おべらっ!」


突然アレカンドロが膝から崩れ落ちる。

床に倒れるとそのままオロロってしている。




「邪魔する者は死あるのみ‥」




ア、アキーエが恐ろしい‥



アレカンドロよ成仏してくれ‥







「そ、そ、そのなんだ。とゆーことでこれからも宜しくな!」


「‥‥‥そ、そうね!こ、これからも宜しくね!」




「子供か‥」


離れた所でキリーエが何か言っているが聞こえないぞ!





祝勝会は深夜まで続いた。


ミミウが大食い勝負で、『獅子の立髪』の3人を連続で倒したりバラックスさんがお酒を全然飲めなくて、シクーさんに勧められて飲んだら一杯で真っ赤になって眠っていた。

髪の毛がないから、頭皮まで真っ赤になって茹で蛸のようだった。

ちなみに蛸は異世界では普通に食べられているようだが、こちらでは馴染みがない。

今度たこ焼きでも作ってみようかと思ったら、キリーエの目がこっちを見て光ってるように見えた‥


もうあれって特殊能力じゃないか‥?




お腹もいっぱいになりいい感じになった時にキリーエが前に立った。


「それじゃみんないい感じになってきとるから、ここらで大会やったりましょー!全員参加の腕相撲大会〜!」


またキリーエが変な事を言い出したぞ‥

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