第778話

「マルコイさん!マルコイさん!『ブラックホール』って何ですか!?」


うむ。

ブラックホールか‥


ブラックホールとは、異世界の宇宙空間に存在する天体のうち、極めて高密度で、強い重力のために物質だけでなく光さえ脱出することができない天体とされている。


これはスキル【異世界の知識】をもってしても理解する事が出来ず、ただ異世界は空の上のことまで考えているんだなぁと思ったもんだ。


そしてブラックホールというのを知った時に、思い浮かんだのはミミウの顔だった。


「そうだな‥ブラックホールってのは、『ご飯が大好きで強い人』って意味だ。」


「わぁ!ミミウはご飯大好きですぅ!それに強いって褒められたですぅ!」


よかったミミウは気に入ってくれたようだ。


さて、まだアキーエは遊んでるみたいだから自分の分も作ると‥


「マルコイさん!おかわりが欲しいですぅ!」


くっ!


やはりミミウに大盛り程度では埒が明かないか‥


俺は大量の鉄のインゴットを取り出す。


スキル【スードゥクリエイター】を使い、特大の鉄鍋を作り出す。


「ふっふっふ。これだけのサイズの鉄鍋だったら、ミミウがたくさん食べても大丈夫だぞ。」


「うわーい!やったですぅ!」


まあ、それでも何回も作る必要があるんだけど‥


俺は特大サイズの鉄鍋を掴む。


なっ!


こ、これは‥



なんて重さだい‥


ちょっと待て。

この重さで鍋をゆするだと!?


俺の腕が2倍速で死ぬんじゃないのか!?


「楽しみですぅ!ちなみにマルコイさん!これは何て名前の料理ですか?」


くっ!

ミミウのキラキラした目が突き刺さる‥


「そ、そうだな。これはオムライスって言うんだぞ。」


「オムライスやね。ホット商会がプリカに進出した時には目玉料理になるやろうね‥」


キリーエが凄いスピードでメモしている。


その後ろでキラキラした目をしているミミウが俺の手元から目を離さないでいる‥


そうだな‥


たとえこの後すぐに魔王と戦う事になろうとも、ミミウのご飯は優先されるからな‥


俺はエンチャント:勇敢なる者を発動して、終わりなき闘いに挑む。


腹ペコ大魔王ミミウを倒すために‥‥‥





「ただいま!はぁ、スッキリしたわ!」


アキーエが戻ってきたようだ。


「お疲れアキーエ。だいぶ暴れてたみたいだな。」


俺は戻ってきたアキーエに声をかける。


「えっと‥そ、そうね、おかけでかなりストレス発散出来たわ。ところで何でマルコイは死にかけてるの‥?」


「ふふ。そうだな。腕が死んで魔力が尽きてしまったから、回復するために死にかけてるんだ。」


俺は今の現状を伝える。


「そ、そう。」


アキーエはテーブルでモシャモシャとオムライスを食べるミミウを見つける。


「あ、そういう事ね。それなら仕方ないわね。」


なんだとっ!


仕方なくなんかないやい。


「よっこらせっと。」


少し回復したので椅子に腰掛ける。


ちなみに腕は死んでいるので、だらりと下がったままだけど。


「アキーエ、キリーエお疲れ様。アキーエは当初の予定通り大暴れしてきたみたいだけど、キリーエはどうだった?報告は出来たか?」


「そやね。ギルドマスターに王様を救出した件を伝えたわ。あとホット商会から冒険者ギルドに依頼をかけてきたわ。まあ内容は『モンスターキングの討伐』にしてきたわ。これやったらこの街の冒険者やったら伝わるやろ。依頼の報酬もたっぷり出す事にしたで。ミミウちゃんとマルコイさんのおかげで、プリカでもたんまり稼げそうやしね。」


「ありがとう。これで金でヨエクについていた冒険者なんかもこっちにつくだろうな。それにもしヨエクがこっちに合わせて報酬を釣り上げたら面白くなるしな。」


「ん?どうして面白くなるの?」


アキーエが小首を傾げて質問したきた。


うむ。

相変わらず可愛いのぅ。


「そうだな。もし釣り上げるとしたらお金がいるよな。ヨエクの資金源は?」


「あっ!」


俺は相変わらずモシャモシャとオムライスを食べているミミウを見る。


もう特大オムライスが残り少しになっている‥


やばいな‥


俺は動かない腕を見て、一筋の汗を垂れ流した‥











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