第403話

「これはエルエス兄さん用に作った投擲用の槍だ。このまま投げるのは流石に勿体ないけど、兄さんのスキル【二重化】なら、これをスキルで二重化して投げる事ができるだろう。」


「ああ。確かに二重化して投げることが出来る。多分こんな高価な投擲用の武器を使うのは世界で俺だけだと思うが‥」


確かにこんな物を普通に投げてたらお金がいくらあっても足りないし、投げられた方は大金持ちだ。


「あとこれには少し仕掛けがあってね。」


ちょっと表に出ませんか?




またしてもやってきました荒野。


昨日の木偶爆弾の地面が抉れた跡が残っております。


「実はこの槍には先端に魔力回路を仕込んである魔道具になるんだ。」


ふむ。

エルエス兄さんが呆気に取られた顔をしているが、ここで説明を止めるわけにはいかない。


「それで、その槍はちょっと特殊でね。アキーエにお願いしてアキーエの爆殺魔法を込めてあるんだ。」


これ結構苦労したんだよ。

魔力回路は魔力の回路であって魔法をストックするなんて事はできない。


なので魔力を貯める事ができる魔石を槍の石突の所に設置している。


ただの魔石だと魔法を込める事はできないんだけど、スキル【スードウクリエイター】で魔石の構造を変化させている。


ふはははは。

もう砂とか石っぽいやつは何でもありだ。

ありがとう【スードウクリエイター】


魔石は中にある魔力を放出する石だが、それを一度空にして魔力が外に出ないようにした。


そこにアキーエの魔法を入れ込んだんだが、何回か爆発した。


何度も頭がアフロになったもんだ。


でもある程度の大きさの魔石で魔法をストックする事ができたんだけど、それを圧縮して石突につけたのだ。


それでもかなりの大きさになったので、【スードウクリエイター】で魔石の形を変化させる事になった。


なので正確にはオールミスリル製ではなかったりする。


表面はミスリルなんだけどね。


魔力回路についてはその魔石に魔力を流し込んで魔法を発動させるのだ。


まあぶっちゃけて言うと、魔法に魔力を流し込んで暴発させるわけである。


ただ投擲するよりも追加でダメージがあった方が面白い‥ゲフンゲフン、効果的なんじゃないかと思ったわけだ。


「それで槍に魔力を込めるとそれが先端の魔力回路に流れる。そこから石突部分にある魔石まで魔力が流れて、魔石の中にある魔法と混ざったら爆発するんだよ!時間にして10秒くらいかな。でも魔力の量を増やしたらもう少し早くなるよ。それに‥」


「ちょ、ちょっと待ってくれマルコイ。」


ん?

まだ説明が残ってるんだけど‥?


「魔力回路に魔石?槍に仕込んだ?何を言っているのか意味がわかんないんだけど‥?」


「どれの意味がわからないんだ?」


「いや、全部だよ全部。魔力回路って普通そうやってホイホイつけれるもんだっけ?魔道具士の人が時間をかけて設置するもんだよな?それに魔石が魔法ストックできる?槍に仕込んだ?普通全部簡単にできないものだぞ。」


ふぅ‥

エルエス兄さんよ。

世の中常識にとらわれてはいけないんだよ。


「まあまあ。その辺は俺のスキルが役に立ったと思ってくれたらいいから。そんな事より説明を続けるよ。この槍はミスリルで出来ているから、魔力の通りがいいんだよね。なんで爆発するのは魔石なんだけど、多分投げたミスリルの槍自体が爆発すると思うんだ。だから対象に刺さったら刺さった槍自体が爆発するっていう夢の武器に仕上がったとおもうんだよね!」


「はぁ‥わかった。」


「お!わかってくれた?」


「ああ。意味が全くわからないって事がよくわかった。それでどう扱ったらいいんだ?」


ふむ。

わからんかぁ‥


まあいいや。


「それでは早速試してみませんか?」


「何か押し切られているような気がするけど、まあいい。【二重化】」


エルエス兄さんがスキルを使いで槍を2本になった。


「よし!それじゃあ魔力を込めたら向こうに見える岩に向かって槍を投げてみて。」


爆発試作品2号機発射!

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