第136話

闘技会本戦まであと数日となった。

街には闘技会の本戦を観戦するためにきた人たちと、闘技会に参加するであろう冒険者が集まり始めている。


俺たちは変わらず討伐依頼や魔道具作り、訓練などを行ってきたが今日から休暇として軽く訓練する程度にしていた。


アキーエは必殺技に磨きをかけているそうだ。

あの爆発する技以外にもいろいろと応用するために訓練をしている。


ミミウは俺が渡したタワーシールドの魔道具に付いている新装備を試している。


キリーエは国相手にダマスカスの件で奔走している。


俺は‥


暇をしている。


出来るだけの準備はしたつもりだし後は本戦で全力を尽くすだけだ。


なので‥

訓練はほどほどにして街をぶらぶらしている。


ただ目的もなくぶらぶらしているのではなく、敵情視察も兼ねている。

闘技会に参加するような冒険者はやはり他とは持っている雰囲気が違う。


そんなに数は多くないが、一目見ればわかる。


そして‥

今街道を歩いている男は‥

おそらくSランクだろう。


強いと感じる。

俺もかなり強くなったつもりではいるが、それでも闘えば無事に済まないと思える。


しかしそんな思いすら吹っ飛ばす目の前の光景に俺は怒りを覚える。

確かに彼は男の俺でさえ綺麗と思えるような顔立ちをしている。

プラチナの髪からは長い耳が見える。

エルフなのだろう。

しかし‥‥‥




何故3人も女性を引き連れて、白昼堂々とイチャイチャしているのだ?

あんなにベタベタと‥

うらやま‥けしからん!


俺の怒りが通じたのか彼は此方に気づき近づいてきた。


「熱い視線ありがとう。僕のファンかい?」


んなっ!

この怒りの視線を熱い視線だと!

確かに怒りで熱くなってるぞ!


「ん〜。よく見たら可愛い顔立ちをしているね。僕はどっちもいけるんだ。よかったら今晩どうだい?」




‥‥‥‥‥?


意味がわからない?

何を言ってるんだこいつは?

どっちもいける?



!!!?



「ひっ!ひーーーーっ!」


マルコイは全力で逃げ出した‥







なんなんだ。

Sランクは人外と聞いていたが、そんな意味じゃなかったと思うけど。

恐ろしいなSランク‥

あんなやつばっかりだったらどうしよう‥

あいつとだけは当たりたくなぁ‥


他にも闘技会に参加しそうな冒険者も見かけたが、先程の事が衝撃的すぎて宿に真っ直ぐ戻ってきた。


「あ!マルコイ戻ってきたんだ。」


「マルコイさんお帰りなさいですぅ。」


「マルコイさんおかえりさん。」


3人とも戻って来ていたようだ。


「ただいま。皆んな訓練や用事はいいのか?」


「もうやれる事はやったわ。あとはゆっくりと休養をとってから挑む事にしたのよ。」


「はい!いっぱい食べていっぱい休むですぅ!」


「もうご飯は用意してるわよ。今日は試作品だけどお酒も準備してるわ。でも飲み過ぎるといけないから少しだけね。」


よし。

準備は万端だ。

あとは皆んなで闘技会に乗り込むとしよう!




そして‥


ミミウのよだれが凄いから、早く食べるとしよう‥

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